ふるさと納税、本来の趣旨を考えればこうならなかったのでは?

ふるさと納税から四つの自治体が適用除外になりました。

適用除外になると税額控除からの除外になりますから、ふるさと納税をしても、今までのように居住地の市町村から住民税が控除されなくなります。すなわち、適用除外になった自治体四つに対しては寄附をすれば「単なる寄附」となります。

四つの自治体とは、大阪府泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町そして佐賀県みやき町です。

みやき町に関しては昨年9月に取り上げました。本当に豪華なカタログギフトで、自動掃除ロボットのルンバやゴルフクラブの最高級品ゼクシオ、他にギフト券等がありました。

小山町はJCBやAmazon、クオカードなどが並んでいてその返戻率は4割、さらにすごかったのは高野町の日本旅行ギフトカードでその返戻率は51%にも及んでいました。
何と言っても返戻品競争のチャンピオンは泉佐野市ですね、

およそ1000種類の全国の特産品がラインナップされていて、もちろんギフト券もありました。「ここまでやるのか!?」という感じで、返戻率6割を超える商品もありました。

ということは、今挙げた四つの自治体は寄付金の4〜6割が返戻品に充当されますので、残り4〜6割しか使えません。

寄付した人にとってみたら、税金で物やギフト券を買ったことになるわけですね。そして何よりも、寄付した人が住んでる自治体にはそもそも税金が入らないという事態になるわけです。

何でもそうですが、ルールがあってもルールを履き違えて行動したり、調子に乗りすぎたりしたら必ずルール(規制や法律)は厳しくなります。

決して飲酒運転を容認したり、上長するわけではありませんが、飲酒運転が横行していた時代もありました。「今日は車なんで乾杯だけ(一杯だけ)」なんて人は世の中に溢れてたわけです。しかし乾杯(一杯)だけに留まらず、へべれけに酔っぱらって車を運転し、事故を起こし人を殺めることが多発する。その結果として、今のように、飲酒運転撲滅、絶対だめという形になるわけです。

これも以前に書きました。美味しかったレバ刺し、危険部位をしっかり管理することを怠った結果、人が亡くなる事件が多発。そして全面禁止になりました。

飲酒運転とレバ刺しでは全く話が違いますが、やはりルールの趣旨を理解して、守っていかないと、法律でどんどん細かく決められていく。よって今回、ふるさと納税の趣旨の逸脱が今回の仕組みを作るきっかけになった四つの自治体にも問題があります。ただし、それに便乗した国民も率直に言って、卑しいと思います。

泉佐野市は「国が作ったルールの中でやっているから違法性はない」と言っています。確かにその通りなんですね、だから国は今回「ルールを強化した」ということになるわけですけれども・・・。

「返戻品が欲しくて寄付してたんじゃない。泉佐野市が好きだったから寄付した」という方、これから税額控除じゃありませんが、どんどん泉佐野市に寄付してください。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年5月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。