丸山穂高議員の問題から考える、当事者、周囲、社会の「否認」

2019年05月20日 21:30

本日(5月20日)、丸山穂高さんが会見に現れたことから、議員辞職問題がメディアでも大きく取り上げられております。宇佐美典也さんと私が、丸山さんのアルコールの問題に対しても、これをきっかけにきちんと向き合うべき、それに維新の先生方が力を貸すべきと発信したことから、さまざまな反応が起こり、本当に依存症問題は理解されていないなぁ…とつくづく思った次第です。

特に私たちから「維新の先生方は、ここで切り捨てるだけで、ちゃんと介入し適切な支援に繋げようとしないなら、依存症問題をしっかりやる!といくら言ってても、それは信用できません」と発したことに対して、府議や市議の先生方から、特に宇佐美さんに対して、「丸山を辞めさせることは正しい!宇佐美さんこそ自分の後輩(東大→経産省)に対して甘い」と意見がでていること、また維新の支援者の皆さんからも、「本人次第だろう!本人が向き合わないなら党ができることなどない」と、言われることに、私としてはとても残念でなりません。

むしろ今回の件をきっかけに、維新の先生方とタウンミーティングを大阪で開催してはどうか?と考える次第です。

もうこうなってしまうと、維新の先生方と丸山穂高先生が繋がることは難しいかと思いますが、そもそもこの件に関しては、早期対応がまずかったと思います。

丸山先生が離党届を出された時に、きちんと聞き取りをしてアルコールの問題を認めさせるべきでした。
丸山先生は、ご自身でも断酒の誓いを立てていた位ですから、お酒の問題は重々承知だったはずです。

ここで、離党届だけではなく、一度議員を辞職して治療に向き合うことを促すべきであり、その上で、議員として再起するかどうかは「有権者に問え」と伝えるべきだったと思います。

それをいきなり、離党届は受け取らない!除名だ!連判状だ!辞職勧告決議だ!と、次から次へとガンガン責め立てたら、心を閉ざすばかりですし、維新の丸山先生を維新と共に応援してきた有権者の皆さんだって、この手のひら返しにはがっかりする方も多いかと思います。ホントこれがまさに当事者と周囲の人の否認なんですよね。

今日は、依存症等の問題にまつわる否認について書きたいと思います。

1)「当事者」の否認

ご本人も松井知事のツイートに対し、自分は「アルコール依存ではない」といった主旨の発言をしたようですが、う~ん…問題は依存症の診断の有無じゃなく、「自分にはお酒の問題がある」と認めることじゃないですか?議員辞職決議や維新の対応に対しては血気盛んですが、ご自身のお酒の問題に関しては否認を続けておられますよね。

誰か、記者さんが「ご自身のお酒の問題はどう思っていますか?専門家の診断を受ける気はないのですか?やめるために自助グループや支援を受ける気はないのですか?それは自分の問題から逃げているのではないですか?」と突っ込んで質問してくれないかな?と思っております。

私は、丸山穂高さんがお酒をやめるための支援を受け入れて下さることを心から望んでいます。

2)「周囲」の否認

今回の維新の先生方の手のひら返しは、正直ショックでした。
石野卓球さんのピエール瀧さんへの愛あるTweetで、「あぁ、アルコール、薬物、ギャンブルに問題がある人へに周囲の人はこんな風に支えになり、その代わり謝罪も説明もとって代わったりせずにタフラブを貫いていくんだな~。」と、多くの国民が理解できた矢先だったのに、またしても身内が率先して罵倒し、責めて責めて責めまくった…。

もちろんピエール瀧さんの薬物の自己使用と、国会議員の戦争発言とでは全く立場も責任も違いますが、一言でいいから「断酒に向けた努力を促した。」とか、「断酒すべく、しかるべき支援に繋がるよう話し合った。」とか、そういった改善に向けた前向きな義務というか支援も発信して欲しかったと思っています。

「本人が向き合わない限り、党としてできることはない」というのもまた否認だと思います。ましてや丸山さんのお酒の問題を、維新の先生方は分かっておられました。けれども依存症のような問題は、他には問題がでないため「今度こそしっかりやるだろう」と期待し続け、同じことを繰り返してしまいます。

これまでに断酒会やAAに繋がることを議員を続ける条件にすることもできたはずですし、今回の件でも、「除名ではなく離党届を受理するから、その代わりアルコールの支援に繋がれ」など、もう少しうまいやり方ができたのではないかと悔やまれます。

3)「社会」の否認

これは現在のTwitter界隈を見ていて、まだまだ根深いなぁと思います。

①「アルコールの診断を受け支援に繋がれ」と言うと→「甘やかすな!」。
じゃあ、このまま自分のアルコールの問題から逃げ続けることがよいのでしょうか?
もちろん病気の診断を受ければ、議員辞職の免罪符になるわけでもありません。

②本人の自覚の問題
本人は自覚がない、もしくは自覚していても認めたくない、これが依存症等アルコールに問題のある人の症状です。
だから「否認の病」と言われるんですね。なので、それを「自覚がない!」と怒られても、自覚症状がないというか自覚できないんですよね。

③本人が向き合わなければもできない
そんなことはないです。周囲の人達にも社会の人達にもできることはあります。
本人が向き合えるよう、先取り不安を取り除いてあげることはできます。そして治療に向き合う勇気を持たせてあげるのです。

と、様々な否認を書いてみましたが、まだまだ啓発が足りないなぁと実感します。

ちなみにこういう風に、まずは治療・支援に繋がりましょうよと言うと、「甘い」「許されると思うな」と宇佐美さんや私も言われるのですが、私も宇佐美さんも最初から、ここは議員辞職を!と、最初から申し上げております。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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