トランプ危うし?大統領選注目の起業家アンドリュー・ヤンとは何者か

2019年05月28日 06:00

米中貿易戦争がヒートアップするさなか、トランプ大統領が来日した。ロシア疑惑、モラー・レポートでトランプ自身が弾劾される心配も減ったのか、落ち着いて日本訪問を満喫している(ように見える)。

ゴルフ、相撲観戦、炉端焼き、宮中晩さん会等々、とても楽しそうだ。来年の大統領選挙も余裕なのかもしれない。

しかし、おひざ元のアメリカでは、面白い動きがみられる。それは大統領選挙でトランプのライバルになりかねない候補が続々出現しつつあるのだ。その中でも、民主党から名乗りを挙げた中華系のアンドリュー・ヤンという男は魅力的だ。

中華系、44歳、テクノロジーに詳しい起業家!

「Gen X leader」 (ジェネレーションX世代:1965~79年生まれ、テレビメディアの影響力を受けて育つ、政治や社会に対して冷めているとも)と言われ、起業家であり社会起業家でもある。

彼が注目を浴びているのは、月1000ドルを国民に配る「universal basic income」(ベーシックインカム)を政策として掲げ、AIによる社会的失業を踏まえた未来を考える政策を打ち出していることである。

いったい何者か?

1975年1月13日生まれ、44歳。ニューヨーク出身。アイビーリーグの名門ブラウン大学で政治経済学を学んだのち、コロンビア大学のロー・スクールへ。企業弁護士から社会人生活を開始。すぐに、スタートアップ企業に転じた。ビジネススクールや大学院受験のためのGMAT予備校のCEOになり成功。その事業を売却後、2011年には、「ベンチャー・フォー・アメリカ」を設立。

この団体。名門大学出身の若者を1ヶ月トレーニングし、その後、地方のスタートアップ企業で2年程度経営幹部として派遣、修業してもらうプログラム。頑張って起業まで至ってもらうような面白いビジネスである。日本においても、この団体を参考にして地方創生をすすめる団体も出てきたくらいだ。

そんな彼のバックグランドは、台湾出身の両親を持つアジア系。父親はIBMの研究者で、母親は大学のシステム管理者である。いわゆる、移民2世。

GAFAなどのプラットフォーマーに厳しいが、ビジネスやテクノロジーを理解している。

かなりの映像を見たが、その当意即妙の答えは知性を感じさせる。西村が憧れたジョージ・ステファノポロスというABCテレビのコメンテーターがいるのだが、彼の厳しい質問にも難なく答えている(こちらの動画を参照)

ヤン氏公式FBより

ベーシック・インカムをアメリカで?(笑)。その政策!

政策は彼のサイトを見ればわかるのだが、注目は

・全国民に対する最低所得保障制度(ユニバーサル・ベーシック・インカム)導入
・全ての取引に対する10パーセントの付加価値税(欧州で一般的なVAT:Value Added Tax)導入
・教師の給料引上げ
・すべての学校に「ライフスキル」教育を
・マリファナの合法化
・選挙日を休日に
・投票年齢16歳以下

などである。特に、UBI(ユニバーサル・ベーシック・インカム)の実現は、福祉プログラム、付加価値税やUBIによる社会的コストの減少で可能だと主張している。

トランプのような政治経営者と正反対!

この男の凄さは

・「人間中心資本主義(Human-centered Capitalism)」
・「自由の分配(Freedom Dividend)」

という新しい価値観を提示していることだ(社会主義的な色が強いが)。それを説得力を持って語る。喧々諤々の議論をふっかけてくる市民に対しても、丁寧に説明する。

社会を変えたいという大人(しかも世襲議員ではない、移民2世)が出現し、その問題を提示し、ビジョンを語るところは、さすがアメリカ。社会の多様性とエネルギーを感じる。果たして日本にこういう若きリーダーはいるのか?(いるのだが政治業界に行かない?)

話を戻して、トランプ政治に対するアンチテーゼとしては格好のニューカマーである。大丈夫か?トランプさん。

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西村 健
日本公共利益研究所 代表・主席研究員

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