「正論」の女性編集長就任と皇位継承問題

2019年06月01日 06:00

田北氏(産経新聞サイトより:編集部)

月刊誌『正論』の新編集長に田北真樹子さんが令和元年(2019年)5月1日付けで就任した。新編集長のもとでの最初の仕事である7月号が6月1日に発売になった。

田北氏は1970年生まれで大分県出身。アメリカに留学してシアトル大学コミュニケーション学部でジャーナリズムを専攻したのち産経新聞に入社。ニューデリー支局長の経験もある。

政治記者としては森喜朗時代の総理番をつとめたのち自民党や外務省を担当。2015年からは官邸キャップとして安倍政権を至近距離でみてきた。

総合雑誌の女性編集長というと、『新潮45』は少し文芸的でもあるので、いわゆる総合雑誌かどうかは議論があろうが、編集長を中瀬ゆかり氏がつとめたことがある。しかし、よりオピニオン誌としての性格が強い『正論』の編集長を女性が勤めるのは画期的なことだ。

メインの特集は『安倍首相は保守か』という、なかなか微妙なテーマ。保守層にとっては、保守のつもりで支援した安倍首相のもとで、憲法改正もなかなか動かないし、というので不満もあるわけだが、そのあたりを鋭く切り込んでいる。

ほかには、『中国の民主化は不可能』と言い切った特集。東京裁判判事レーリンク日記といった連載も楽しみだ。

令和が始まって執筆された記事が載るのはこの号が最初になるのだが、皇室がらみでは『安倍首相は保守か』特集のなかで櫻井よしこ氏が『真贋を試す二つの課題 皇室の危機と憲法』をかいているほか、竹田恒泰氏が『令和の時代の天皇像と皇室の課題』、そして私が『悠仁様の後にも備える現実的な皇統維持策』を書いている。

その内容は、5月3日付けの産経新聞朝刊に出た以下のような短い談話を膨らませたものだ。

悠仁さま、愛子さま(NHKニュースより:編集部)

皇位継承は男系男子があくまでも原則だ。これから議論すべきは、悠仁さまの皇位継承を前提とし、その後が続かなかった場合の候補者をどう確保するかだ。

私は男系か女系かという議論は棚上げにして将来の選択に任せる前提で、両方の可能性を残せばいいと思う。具体的には3つの方法で皇室と縁があり、悠仁さまと同世代以下の若い男子に宮家を継いでもらい将来に備えればいいと思う。

1つは旧宮家の男系男子による継承。旧宮家には明治天皇や昭和天皇の内親王が嫁ぎ、今の皇室と近い血縁の家もある。例えば、常陸宮家の跡を姉の子孫の東久邇家の誰かが継いでも違和感がない。

2つめは女系の男子。眞子さまや佳子さまの男子が秋篠宮家を継ぐのは女性宮家よりは抵抗が少ない。

3つめは皇族の女性やその子孫が遠縁の男系男子と結婚して生まれた男子だ。旧宮家に限らず、江戸時代から戦前に公家や華族になった者の子孫まで含めると、かなりの数の男系子孫の男子がいる。宮内庁は彼らの名簿を整えるべきだ。

詳しい内容は、雑誌が発売されたばかりなので、あまり詳しく紹介できないが、要は男系論と女系論ががっぷり四つを組んだまま動かないこの問題を、両方とも可能性としては残すというものだ。

しかも、皇族女性と江戸時代に分かれた遠い先祖まで含めて男子男系の家が20家以上ほどあるので、その誰かと結婚していただけるようなことがあればもっとも好都合といった第三の選択も入れた三つの方法すべてを認めてはというものだ。

いずれにしても、悠仁親王殿下に男子が生まれたら何の問題もないわけだし、悠仁様が平成の陛下が退位された80歳代なかばまで在位されるとすると、2090年代の継承の問題である。

いま無理矢理、男系か女性か結論を出す必要などまったくないのである。

また、少し時間がたったら、出てきた反響への回答も含めてこの欄で詳しく書きたいと思っている。

いずれにせよ、平成の陛下の4人の孫たちの結婚などが目前に迫っているなかで、選択肢を拡げておくのが大事なことだ。

しかし、それにしても、数少ない皇族方がどうして同じ場所にまとまっておられたりするのだろうか。不思議で危険なことだと思う。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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