統一地方選挙にチャレンジしたある女性候補者の姿②

2019年06月05日 21:00

>>>統一地方選挙にチャレンジしたある女性候補者の姿①はこちら

衆議院議員時代、共に政府システムの効率性を追い求め予算削減を担当していた後輩から電話がかかってきたのです。「応援して欲しい女性がいる。是非、1度会ってもらえないか?」と。「僕は今、政党的には無所属だとわかった上でのこと?」、「わかった上で支援をお願いしたい」と。

当時、後輩には無理な作業をお願いしていたこともあり、その後輩の頼みごとを断るようでは先輩顔出来ません。「そこまで言うなら、会うよ」と。それから、しばらくして見覚えのない番号がスマホに表示され、ある女性から電話だったのです。その電話で日程を確認し、会う日取を決めたのです。

写真AC:編集部

もちろん僕の整理は、会う事と支援する事は別次元の話なので、支援することは約束したわけではありません。そして、その女性が訪ねてきました。「政党の公認が降りるので市議会にチャレンジします」と。「でもどうやって選挙をしていくのかわからないし、地元に支援者もいません」と。「ところで、僕に投票したことないでしょう?」と聞くと「ありません」とはっきり答えました。正直な人だと思ったのと同時に、嘘を言ってもごまかせないと考えたのだと思います。

政治に対してどんな思いを持っているのか、あるべき社会像をどう捉えているのか、どんな選挙をやりたいと思っているのか、そして家族はどう思っているのか、いろいろと話をしました。子育てで悩み、介護で悩み、上司との関係で悩み、時に夫と喧嘩し…、普通の女性が議員になれる道をつくりたい、見せたい。そしてその中から見える社会課題を解決したい。職業として生活の為に政治家になるつもりはないので、課題が解決すれば別の人にバトンタッチしても良い。政治家としての自分に寄りかかるのではなく、日頃の努力によって、政治の道以外でも生きていけるスキルを身に着けるつもりだと。

日本は、今現在だけを捉えれば豊かで、自由に自らの意志を表明できる国家かもしれません。しかし、もっと経済成長が出来たのではないか。豊かなのだから、社会的に弱い立場の人たちにもっと寄り添えたのではないか。このままでは、立場の違いが明確になる格差社会、生産性の低い経済低迷社会になってしまうのではないかと、心配しているのは僕だけではないはずです。

社会の仕組み全体を見直すからこそ、ダイバーシティが必要で、その為にも普通の女性議員が増えていくことが大切だと思うのです。政党が公認候補を決める時に男女の候補者を均等にするよう定めた「政治分野における男女共同参画推進法」も制定されました。しかし、この法律は公認候補選定の話であり、当選させることとは異なります。

僕は、この女性の考え方、生き方、政治の捉え方に賛同しました。僕が昔、政治家志望に求めていた要件とは異なる新たな政治家像をつくることが出来るのではないかと思ったのです。何党の公認かどうか、僕を支援してくれていたかどうか、という判断ではなく、今社会に必要な感覚を持つ政治家になれるのではないか…と。

そして、微々たる力だけれども、今まで得た知見で協力できることはしようと思ったのです。過去の自分のやり方や考え方を押し付けるような支援ではなく、あくまで本人の考えを聞いて整理してあげる役割に徹する支援です。その意味では、僕も支援の在り方を大きく変え、公約づくりも、選挙の方法論も本人の考え方を中心に決めたのです。

●母親の顔が街中にあったら子供はどう思うのだろうか?
→「街中の事前ポスターは貼るのをやめよう

●昼間に遊説自動車が住宅街で拡声器を使ったら、昼寝中の子供や高齢者が起きてしまわないか?
→「住宅街での連呼はやめよう

●小さな子供がいたら選挙のお手伝いが出来ないのではないか?
→「選挙事務所にベビーサークルをつくろう

○所得の差が教育機会選択の差になってはいけない!
→「義務教育下でも私学選択のサポートをしよう

○自分の力を過小評価したらつまらない人生になってしまう!
→「自らの能力見つけ出し、シェアして皆に提供しよう

ある女性は、自分の思いを選挙運動という形にして、最後までその意思を貫いたのです。何故、そこまで貫くのかという問いに対して「選挙のスタイルから新しいものにして、次に続く女性候補の選挙モデルを示すのが私の仕事だから…」8時に駅に来て演説する、そして20時で演説を終えると子供が待つ自宅に戻る。20時以降の政党活動や個人演説会もやらない。

政党は候補者を公認をするが、選挙運動そのもののサポートはない。支援者の協力を得ながら、自らの力で勝ち上がることが前提となっているのです。新人、特に女性候補に対してはもっとサポートがあるべきと思うけれど、他の男性候補者とのバランスという問題もある。支援者ゼロ、準備期間3か月、そこから始めたある女性は、9000票を争った選挙で50票差で次点となりました。よくやった善戦です。でも負けは負けなのです。

今、ある女性は、自分の役割がもう1つ増えたと言っています。それは「落選時の4年間の活動モデルをつくる。選挙には当落があるので、両者のモデルがあった方が良い」と。今、必要なのは普通の女性が選挙に挑戦し、落選しても活動が続けられ、議員を辞めた時を含めてライフプランを描けることです。

そのトータルモデルをある女性に作ってもらいたいと思っているのは、僕だけではないはずです。ある女性に伝えたい。「さぁ…これから始まる4年間、そしてその先に待ってる4年間。先ず、やってみよう」と。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年6月5日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。

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福田 峰之
多摩大学客員教授、前内閣府副大臣、前衆議院議員

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