高齢者の車に自動ブレーキの装備義務を

2019年06月07日 06:00

メーカーは安全装備の宣伝を

高齢者が運転する自動車による死亡事故が相次いでいます。福岡市では81歳の男性の車が逆走し、6台の車に次々と激突、同乗の76歳の妻の2人が死亡し、他に男女7人が負傷しました。高齢化が進み、類似の事故は今後も多発するでしょう。道路交通法を改正し、80歳以上の高齢者の車には、自動ブレーキ、アクセル踏み間違い防止などの装備を義務付けし、それ以外は運転禁止すべきです。(動画はANNニュースチャンネル公式YouTubeより:編集部)

自動車メーカーの広告は燃費、走行性能、デザインばかり強調しています。事故防止装備を組み込んだ安全対策車を十分に宣伝している、とはいえません。安全装備を搭載した新車の発売ばかりでなく、後付けできる装置の研究開発を急ぎ、中古車でも改装できるようにすべきでしょう。

メディアは「悲惨な事故」「運転者はひどい」「高齢者は免許を返上すべきだ」などを大々的に報道するのに、事故を起こした車が安全装備をつけていたのか、いなかったのかに関心が薄い。高齢化が進む中で何を重視して報道すべきか。メディアの報道姿勢が成長するよう願っています。

保険会社は保険料率に格差を

保険会社は保険金の支払いのために、事故の詳しい内容を把握しているはずです。安全装備のデータを公表するほか、事故防止策の程度に応じて保険料を設定する。そのことをもっとユーザーに知ってもらう努力が必要です。行政は業界をもっと指導すべきでしょう。

工学の知識が詳しく、自分の車の安全装備に気を配っている知人がいます。80歳代後半です。最近、学生時代の仲間の同窓会があり、自動ブレーキの装備の有無を尋ねたところ、自分以外はだれも装備していなかった。理由は「今まで事故を起こしていないので、自分は無関係」という程度の認識です。

知人は「高齢者ほど、安全対策車の新車に買い替えるべきだ。運転支援装置の装備の義務づけもすべきだ」と、指摘します。個人金融資産は1800兆円で、ほどんどを65歳以上の高齢者が持っています。「新車を買う資金ないとは、言わせない」と。

元高官の安全意識の欠如

元工業技術院の院長(87)が池袋で先月、車の暴走事故を起こし、31歳の女性と3歳の長女が死亡しました。その車は03年9月から09年5月に発売されたプリウスのようです。「10年も16年も前の車だから、ほとんど安全装置がついていない。技術の専門家、高学歴、高収入だった元高官ですよ。しかもブレーキとアクセルの踏み間違いが原因なのに、ブレーキが効かなかったと言い張る」と。

交通事故件数がこの10年で半減しているのは、ブレーキなどの安全対策が進んだためです。データをみて気がつくのは、40歳代と80歳以上の事故が増えていることです。「高齢者ほど安全対策が必要なのに、おカネを使わないのは、我慢ならない」と、知人は怒っています。

地方に住む高齢者には、車がないと暮らせないという人が多いでしょう。経済的な余裕がない人もいるでしょう。新車でないと自動ブレーキは装備できません。そこで当面は後付けできる「アクセル・ブレーキ踏み間違い防止装置」(数万円)、「居眠り・わき見防止装置」(2、3万円)で対応するのでしょうか。近隣の人が有料で車に乗せてあげられるよう法改正をしたらどうか。

冒頭の知人は「身体が硬くなった高齢者は、頭を後ろに向けるバックが苦手。また、バックミラーやサイドミラーは、左右の映像が反転するので、事故を起こしやすい。ブレーキとアクセルを踏み間違える原因となる」と指摘します。カーナビで後方を見ながら運転(バック)してよいと、運転規則を改定すべきだ」と指摘しています。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2019年6月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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