いずも型護衛艦の改修と運用の課題(6/6安全保障委 質疑より)

2019年06月07日 11:30

2019/6/6安全保障委員会 質疑要約(スタッフ編集)

(長島)

先日、テレビ番組(5/30 BSフジ「プライムニュース」)内で、海上自衛隊のOBと航空自衛隊のOBの方々と「いずも」型護衛艦の改修(いわゆる「空母化」)について議論する機会があった。彼らから三つほど懸念が示されたので、その点について岩屋防衛大臣の所見をお伺いしたい。 

①今回の改修は非常に「中途半端」なものであると感じたそうで、つまり「空母」としての十分な機能を持ち得ないのではないか? 

②今回の改修によってSTOVL機が運用できるようになると、他の大事な役割・任務を果たすことができなくなるのではないか?つまり、元々「いずも」型の作られた目的である、対潜水艦の哨戒任務などが疎かになるのではないか?

(※STOVL機=F-35Bなどの短距離離陸垂直着陸機)

③今回の「いずも」型の改修は、どのようなプロセスで決まったのか?

通常は、彼我の戦力を踏まえ、具体的なシナリオなどを考慮するネットアセスメントなどを経て、我が国にどのような防衛装備が必要なのかを決定していく。だが、今回の「いずも」型の改修・運用の決定にはそのようなプロセスを経てないように思える、という指摘があった。

(岩屋防衛大臣)

「いずも」は既に多機能・多目的な艦ではあるが、改修を経た後も同様に多機能に運用していきたいと考えている。そのため「いずも」の性格が不明確になっているというご指摘を受けるかもしれないが、哨戒活動機能、災害時の輸送機能、艦艇の指揮機能、医療船としての機能、という元来の機能を果たしつつ、STOVL機を必要に応じて運用できる機能を付け足すという、ある意味非常にチャレンジングなことではあるが、やり遂げていきたいと考えている。

(長島)

基本に立ち返って、我が国の防衛戦略はこうだ、そのための海上防衛戦略はこうだ、だから「いずも」型の改修が必要だ、という三段論法をきちんとご説明いただければ、国民の皆様にもご理解いただけると思うので、ご説明をお願いしたい。

(岩屋防衛大臣)

簡潔に申し上げると、現在の安全保障環境を踏まえれば、言うまでもなく「海上優勢」、「航空優勢」が決定的に重要である。そう考えると、我が国の太平洋側の守りが不十分であり、現状では硫黄島しか運用できる飛行場がない。

そのため、「いずも」型を改修・運用できるようになれば、太平洋側の守りを固めることもできる上に、STOVL機を導入することで、これまで戦闘機の運用ができなかった飛行場でも運用できるようになり、我が国の防空体制、また海上優勢を保つことに大きく貢献することになると考えた結果である。

(長島)

民主党政権時に「いずも」と「かが」の予算化をしたわけであるが、当時は戦闘機の運用は考えていなかった。航空優勢、海上優勢を保つためには地上の飛行場から飛び立つ戦闘機と、対潜水艦の哨戒活動で対応できると考えていた。

我が国の防衛は領土・領海・領空を守ることに加えて、「戦略打撃力」を持たないという憲法解釈があるので、米軍の来援を待たなければいけない。そうすると、来援する米軍を待つ基盤を確保しなければならない。そういう意味では、当時もおそらく今も、潜水艦との戦いが重要となっている。そこに、かなりの勢力を充てる必要があるので、従来の護衛艦に積んでいるヘリコプターだけでは足りず、新たに多くのヘリコプターを搭載できる全通甲板を持つ「いずも」、「かが」の建造が決まったのである。

それにも関わらず、「いずも」型を改修・運用することで、重要な対潜水艦の哨戒活動にどのような影響を与えると考えるか、ご説明願いたい。

(岩屋防衛大臣)

「いずも」が、さらに多機能になっていくことを踏まえて、「いずも」が受け持っていた哨戒機能を他の護衛艦において補充するなど隙間がないように運用していきたい。

(長島)

中国側の活動が活発化してきている、2009年に宮古海峡を艦隊で通過をするいう事が始まり、常態化している。またその後も、同海峡の上空を航空機や爆撃機が通過するようになっている。哨戒活動をするにも、防空活動も同時に重要になってきているので、今回のF-35Bの運用が必要になってきていると考えているのか?

(岩屋防衛大臣)

特定の国を想定しているわけではないが、STOVL機が運用できるようになれば、今仰ったような役割・機能を果たすことができるようになると考えている。

(長島)

これは、非常に難しい話で、トレードオフなので、一方を強化すれば、もう一方が弱体化するわけではあるが、ぜひバランスの良い装備を取得して運用してもらいたい。この問題について継続して安全保障委員会で取り上げていきたい。


長島 昭久  衆議院議員(東京21区)、地域政党「未来日本」代表
1962年生まれ、寅年。慶應義塾大学で修士号(憲法学)、米ジョンズ・ホプキンス大学SAISで修士号(国際関係論)取得。2003年に衆院選初当選、民主党政権では、防衛政務官、防衛副大臣を歴任。2016年から文部科学委員会筆頭理事、外務委員会委員。17年、民進党を離党し、希望の党を経て無所属。18年6月、地域政党「未来日本」を旗揚げ。公式サイト。ツイッター「@nagashima21


編集部より:この記事は、地域政党「未来日本」代表、衆議院議員の長島昭久氏(東京21区)のオフィシャルブログ 2019年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は長島昭久 WeBLOG『翔ぶが如く』をご覧ください。

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長島 昭久
衆議院議員(自由民主党)

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