児童虐待死に殺人罪と死刑で対応を

2019年06月09日 06:00

殺した親に甘すぎる処罰

また児童虐待死です。18年6月7日にブログ「子を虐待死させた親は死刑に相当」を書いたところ、多くのアクセスがあり、「そのくらいの厳罰で臨むべきだ」とのコメントが殺到しました。それからちょうど1年です。札幌で悲惨な児童虐待死事件が起きたためか、1年前のブログにアクセスが急に増えました。

ANNニュースより:編集部

今度の被害者は2歳の長女で、名前は詩梨ちゃんです。「ことり」と読みます。天使のような素敵な名前です。生まれた時、かわいい子に育ってほしいという願いを親は持っていたに違いありません。どこで道を誤ったか、さんざん虐待を続け、体重は2歳児平均の半分の6キロしかなかった。

これまで何度も児童虐待の問題を取り上げました。殺された女児の名に「結愛(ゆあ)」、「心愛(みあ)」、「希愛(ノア)」などとあり、「ことり」ちゃんの場合のように、出産直後、親は天使のような子に成長してほしいと、願っていたはずです。なぜ、どうしてかと、考え込みます。

親の虐待で死んだ児童は03年から16年の14年間で、計730人にのぼります。毎年30ー50人の犠牲者がでています。幼い時に親の虐待を受けた子が大人になると、自分の子に虐待を加える連鎖が多いといいますから、よほどきちんとした対策を講じないと、今度も事件が増え続けます。

非力な児童虐待防止法

児童虐待防止法という法律はあります。「児童に対して虐待をしてはならない」「学校、病院の教職員、医師、保健士、弁護士は虐待の早期発見に努める」「虐待を知った人は児童相談所に通告しなければならない」などとあります。国会では「児童虐待罪」を設ける動きもあります。

児童虐待の背景には、親の幼少期の育てられ方、養育が難しい経済的な困窮、思慮が足りない安易な出産、育て方の不慣れ、子に対する親としての愛情の欠如もあれば、虐待に対する甘い処罰、手が行き届かない行政の対応など、たくさんの問題がありましょう。

特に、「虐待に対する処罰が甘すぎる。罰則をもっと厳しくすべきだ」と思うのです。「ひどい場合は死刑に相当」のブログに、賛同する多くの声が寄せられました。さらに、一向に減らない児童虐待の原因の一つは「抵抗できない幼い子供を殺したのに、適用される罪が軽すぎる」ことでしょうか。

「ことり」ちゃんのケースでは、「母親(21)と交際相手の飲食店経営の男(24)を傷害容疑で逮捕した」とあります。足にアイロンを押し付ける、火のついたタバコを押し付ける、食事をろくに与えない、古いあざの上に複数の新しいあざ、頭や顔に暴行の跡。この親は人間とは思えない。

2歳児に対する長期にわたる虐待の結果、死に至らしめることは十分に予想されます。殺意があったと、判断してもおかしくない。虐待というより、拷問といってもいい。メディアは「衰弱死」と報じています。傷害容疑でなく、殺人容疑で始めから逮捕すべきだと、考えたいのです。

同じころ、小学2年生の長女(8)に対する虐待を続けた母親(29)と内縁の夫(29)を福岡県警が暴力行為等処罰法違反(常習的傷害)の公判がありました。「しつけと称して水風呂に入れた」「両手の足首を結束バンドで縛った」「倒立した状態で頭を何度も回転させた。その結果、頭髪も薄くなった」。これも人間がしたとは思えない虐待です。殺意があったと推測できます。

多くが軽い刑で処置

しつけの延長という言い訳、殺意の立証、立件できる証拠の有無などの問題があり、保護責任者遺棄致死罪、傷害致死罪、傷害罪、暴行罪が適用され、殺人罪で逮捕されることはほとんどありません。これまでの事例は死刑1件、無期懲役2件、懲役30年が1件にすぎず、多くが軽い刑で済んでいます。

国会が児童虐待罪を設けるというのなら、通常の犯罪より重い刑を科すようにすべきです。「全く抵抗できない児童」「それもわが子」「死亡が不可避な虐待の繰り返し」の罪はあまりにも重い。

虐待問題に対応するにはさまざまな論点、視点があることは述べました。札幌、福岡の事件を報じる同じ日の新聞に「特別養子縁組、15歳未満に。改正民放法成立」という記事が載っておりました。これまで6歳未満だったのを拡大する。虐待に追い込まれたかもしれない幼児を救う道にはなります。

養子縁組をする際は、新しい親に引き取ってもらう時期は、出産直後ほどよく、「子は親に慣れ、親は子に慣れる」ことができるそうです。もし子育てが難しいと考えたら、できるだけ早期に縁組をする。その斡旋をする民間団体はありますし、行政もその手助けをすることが必要です。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2019年6月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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