統一地方選を終えて②新人候補の選挙準備とネット選挙戦略

2019年06月21日 06:00

統一地方選を終えて①からの続きです。

今回は新人候補に必要な準備期間のお話と、ネットを使った選挙戦略についてです。

ぱくたそ:編集部

新人候補の選挙準備について

選挙のお手伝いとなると、経験豊富なベテラン議員よりも、今回が選挙初挑戦の新人候補のほうが当然サポートを必要としているので、何人かの新人候補の活動のお手伝いしました。

新人は現職に比べて知名度や地盤もなく、当然選挙の準備期間は現職の議員よりも長く取り、より多くの活動をすることが理想的です。ところが意外なことに、多くの新人候補が十分な準備期間を持たずに選挙戦に臨んでるケースをみました。

これは新人側にも仕事の都合上、選挙直前まで活動の時間が取れないといった事情もあるのですが、そもそも党側の新人候補者の選考プロセスにも問題があるようです。

政党が正式に自分の党の候補として認めた候補を「公認候補」といいます。自民党の都連の公認プロセスにおいて、一次公認と呼ばれる、一番最初に公認されるのは原則として現職議員です。新人候補は二次以降に公認されるケースがほとんどでした。つまり新人候補は正式に党から公認が降りるのを待っていると、準備期間が半年、場合によっては2ー3ヶ月しか取れなくなってしまっていました。

さらに新人の選考プロセス自体も公認が出る時期から逆算されていることが多く、選挙の半年くらい前から選考委員会を開いたりしていたケースが多かったわようです。選考委員会が開かれないと、新人候補としては正式に候補として選ばれるかわからないので、活動やら準備のしようもないわけです。

選挙に出るというのは人生において大きな決断です。多くの場合仕事もやめるし、家族にも負担がかかりますし、事前準備などに対する金銭的負担も大きいです。それらの苦労も当選できれば報われるものですが、落選してしまうと元も子もありません。悔いが残らないよう、自分の全力を出し切るためにも、準備期間は一年くらいはあった方が良いでしょう。

難しいのは地方選というのは基本的に全国規模の組織である自民党本部や、都内の自民党を管轄する都連ももちろん関わるのですが、基本的な活動は各地域の支部が担当します。新人候補を擁立する場合は各支部においての選考委員会で承認された人に対して、支部から都連に公認申請がされる手順なので、全国の一括した選考プロセスとかはありません。ここらへんも都連と総支部との連携という「組織力」が問われるのです。各総支部の権限が強いのは地域密着型という意味で自民党の良いところであり、一方変革のスピードに欠けやすいという課題でもあります

新人候補の準備期間の確保という点では、各地の支部における選考プロセスを今より大幅に前倒し、選挙の1年くらい前におこなう。公募をする場合は各地がバラバラにおこなうのではなく同時期に募集して、各地の公募に関する情報発信を都連で一元化することにより発信力と透明性を高めるなどの改善が望まれます。

ネット選挙こそ時間がかかる

新人候補は年齢が比較的若いということもあり「ネット選挙」が得意と思われているのですが、候補者が40人前後いる中から一人を選ぶスタイルの「大選挙区制」では短期間のネット発信だけで得票率を上げるのは不可能です。基本的にはしっかりと地元活動をした上で、ネットを用いた情報発信にも力を入れて無党派層にも訴えるのが理想的です。

そもそもネットで短期間に注目を浴びるだけの発信力をもっている候補者はほとんどいません。今後有権者の多くがネット通じて選挙のための情報収集を行う傾向が強くなるでしょうから、ネットを通じた情報発信は避けては通れないのですが、有権者から支持されるようなコンテンツを発信して注目を浴びるには時間と努力と才能の全てが必要です。

地方選挙は基本的に支部単位の選挙なのですが、ネットを使った情報発信に関しては総支部ごとが独自におこなうのは費用面で効率的でないので、「地方選特設サイト」などを作る以上の都連主導での恒常的なネット戦略というのも今後さらに必要になってくるでしょう。

公設秘書制度がある国会議員と違い、地方議員には秘書やネットなどの広報を担当してくれる常駐のスタッフがいないことが多く、簡単に「ネットで発信しろ」と言われても自分で魅力的なコンテンツを作るスキルがないと、閲覧数の少ない費用対効果が悪い情報発信となってしまいます。そのうち心が折れてしまい、更新がほとんどされないまま次の選挙の直前に慌ててサイトやSNSを更新するというのは「政界ネット発信あるある」です。

今回「総支部単位」での情報発信などの工夫をしてみたのですが、サイトを立ち上げ、動画を作成して、記事を作成し、SNSで投稿、各候補者の投稿をリツイートなど全部やると非常に大変ですし、一部作業を業者に外注するとけっこうな費用もかかります。

一般的に選挙に強い議員は後援会などの組織が強く、ボランティアスタッフなども確保できています。一方地盤の弱い新人候補は自前の組織もなく、手間暇かかるネット用の動画作成などできる候補はほとんどいません。理想論としては選挙の一年前くらいから新人候補者の選考を行うと同時に、都連や支部でのネット戦略のためのボランティア募集およびスタッフ研修もおこない、横断的なネット広報戦略を実行するのがベストです。コンテンツの内容の向上と費用のバランス、IT環境整備とコンテンツ制作の内製化(外注するのでなく自分たちで作成する)を誰がどこまでやるのか、などは次回以降の活動の改善点です。

都連の課題認識

上記の新人候補の準備期間確保のための選考プロセスの前倒しと、ネット・SNSを用いた情報発信力の強化は自民党都連でも課題として認識されており、先日行われた地方選の報告においても、執行部から今後の活動の改善点として総括されておりました。私自身も都連の執行部の方と話す機会があり、上記の課題を指摘させて頂いたので、都連が総括の中で課題認識してくれたことは大変嬉しいことです。

与謝野 信 ロスジェネ支援団体「パラダイムシフト」代表

1975年東京生まれ。英国ケンブリッジ大学経済学部卒業後、外資系証券会社に入社し、東京・香港・パリでの勤務を経験。2016年、自民党東京都連の政経塾で学び、2017年の千代田区長選出馬(次点)から政治活動を本格化。財務相、官房長官を歴任した故・与謝野馨氏は伯父にあたる。2019年4月、氷河期世代支援の政策形成をめざすロビー団体「パラダイムシフト」を発足した。与謝野信 Official WebsiteTwitter「@Makoto_Yosano」Facebook

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ロスジェネ支援団体「パラダイムシフト」代表

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