バロンズ:株高・金利低下局面で、千載一遇の投資先とは

2019年06月24日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーは世界の中央銀行による利下げを取り上げる。6ヵ月前、世界の中央銀行は超緩和時代が終焉を迎えると予想していた。しかし、今はそうした見解から一転し、利下げに動いた。結果、投資家は金利が上昇するとの見通しを基に組んだポートフォリオの再構築を迫られている。足元で米国では低成長ながら安定した経済拡大が見込まれるなか、米株は1998年当時のような展開となる場合も。当時、S&P500は利下げ直後に3.5%高を遂げ、その年には結局20.9%高を達成した。今回はどうなるのか、詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米株高と米債利回り低下の環境でどこに投資すべきかにスポットライトを当てる。抄訳は、以下の通り。

米株は上昇、米債利回りは低下、次は何が起こる?Stocks Soar. Yields Sink. What’s Next?

米国の二大政党のように、米株と米債は足元で異なる世界に住んでいるかのようだ。米株は過去最高値に迫り好況に沸いているかのごとくだが、米債利回りはまるで恐ろしい出来事に備えるかのように低下している。一体、どちらが正しいのだろう?

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、経済拡大を維持するという「包括的(overarching)」な目標を言及した上で、米連邦公開市場委員会(FOMC)が6月18〜19日の会合で利下げを示唆した。結果、FF先物市場では、年末までに3回の利下げが織り込まれ、米10年債利回りは一時2%を割り込み、2016年以来の水準へ低下した。米2年債利回りも、1.73%と2017年11月以来のレベルへ低下し、FF金利誘導目標である2.25〜2.50%を50bp下回る。欧州中央銀行(ECB)も緩和姿勢を打ち出すなか、足元では約13兆ドルもの国債、社債などがマイナス金利の状態にある。

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作成:My Big Apple NY

それでも、S&P500は20日に過去最高値を更新して引け、2018年12月に米株が底打ちしてから25%上昇した。また、主要株式指数は3週続伸し、米株高の熱狂に根拠があるかは別として、新規株式公開(IPO)が相次ぎ、20日に直接上場を果たしたスラック・テクノロジーズは一時、寄り付き前の予測値を50%上回る上昇を果たした。

株式市場と債券市場の乖離について、UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・ハーフェル最高投資責任者(CIO)は「債券はFedが経済減速懸念から積極的な予防措置を講じると見込んでいる」と分析、中銀が経済拡大期10周年を受け、あらゆる措置を講じて成長を支援するとのスタンスが株式投資家の信頼感を押し上げているという。

別の可能性として、コーナーストーン・マクロのナンシー・レイザー氏は逆イールドが間違いである可能性を指摘する。過去、1995年、1998年、2000年と米10年債利回りはFF金利を下回り逆イールドが発生したが、景気後退が発生したのは2001年3月のITバブル崩壊後だけだ。1990年代は、力強成長と労働生産性の拡大、物価上昇圧力の後退が利回りを低下させた。レイザー氏によれば、そもそも景気後退が逆イールドを引き起こしたわけではなく、Fedによる引き締めと合わせ経済が過度な状態が発生させたという。供給側が潜在成長を上回るペースで拡大すれば過度な状態が生まれると想定され注意が必要となり、今がそうした状況かもしれない。

株式と債券の足元の環境を踏まえれば、株式6割、債券4割という伝統的な配分を見直す必要が出てくるだろう——JPモルガンのグローバル・マーケッツ・ストラテジー・グループは、そう指摘する。金利が低下する局面では、リターンを得る上で株式の割合を高める必要が生じ、だからこそ中央銀行は利下げを行い資産価格を押し上げていると考えられる

経済のファンダメンタルズは、金相場にも追い風となっており、2018年9月14日にバロンズ誌の記事で取り上げてから、金先物市場は15%上昇した。ルイーズ・ヤマダ・テクニカル・リサーチ・アドバイザーズは、21日に金先物の1,400ドル超えの次のターゲットは1,525ドルで、そこをさらに超えてくれば1,600ドル、1,800ドルが視野に入るという。ポール・チューダー・ジョーンズ氏も同様の見解を有し、1,400ドル超えの次は1,700ドルと予想。年内の景気後退を40〜45%と予想するダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)も、バロンズ誌のラウンドテーブルで金相場に強気だった。

金相場は、株式のヘッジとしても魅力が高い。CFRAインベストメントのストラテジスト、リンジー・ベル氏によれば、金相場は2018年9月28日から2019年2月20日まで13.7%高だった一方で、S&P500は4.4%安だった。S&P500が足元で最高値に迫るとはいえ、金先物は米中間の貿易摩擦が激化した5月以降、米株を上回るパフォーマンスを遂げてきたという。

またCFRAは、1975年以降に金相場とS&P500は経済拡大期に反対に動くケースが多いと指摘したほか、景気後退局面でわずかながら相関性がみられるという。CFRAはこうした背景から、強気相場の終焉近くでポートフォリオを分散する上で、金を賢明かつディフェンシブな投資先と評価する。

足元、ダウ平均は金19オンスに相当するほどの価値であり2018年9月時点の22オンスを下回っている。保険として金先物を捉えるなら、今は比較的リーズナブルな水準と言えるだろう。


金先物が上昇する過程で、ビットコインの上昇も止まりません。21日には遂に2018年5月以来となる1万ドルを回復しました。Fedをはじめ世界の中央銀行が再び緩和策に転じる過程での上昇は、目を見張ります。パウエルFRB議長が量的緩和策やゼロ金利政策について「もはや非伝統的政策ではない」と発言したように、各国が緩和措置により自国通貨を下落させるなあでの備えなのか、あるいはその後のインフレ上昇による貨幣価値下落の予防策なのか。フェイスブックが発行を計画する”リブラ”には規制当局をはじめ数々の障害が立ちはだかるとはいえ、既存の仮想通貨もとい暗号資産に再び注目が集まっているのは確かでようです。

(カバー写真:mason.flickr/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年6月23日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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