府省内部システムにもアクセシビリティを求める

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行政事業レビュー公開プロセスが進行中である。6月19日は総務省。三つの事業が議論された。

最後に議論したのは「総務省所管府省共通情報システムの一元的な管理・運営」。総務省が所管する府省共通情報システム(一元的な文書管理システム、法令検索等システム及び政府情報システム管理データベース)について議論した。

法令検索システムは各府省での法律案の作成などで活用されるとともに、e-Govで国民に提供されている。最新法だけでなく旧法の閲覧が必要な場合もあるし、施行前の法律を調べたいときもある。国民のニーズにできる限り応えるように注文した。

総務省所管府省共通情報システムとは、要するに各府省横断的に利用される決裁システムである。2009年からの現行システムから2023年に新システムに移行する計画になっている。

新システムの課題は使い勝手(ユーザビリティ)とだれでも利用できる(アクセシビリティ)である。

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現在のシステムでは年間334万件の決裁を処理しているそうだ。使い勝手が悪く一つの決裁について10分余分に時間がかかると想定しよう。総計すると55万6千時間の無駄。これは300人以上の政府職員の年間労働に相当する。

現行システムの使い勝手には各府省から多くの注文が来ている。それらを解決するように、新システムの設計段階では政府職員によるテストを求めるなど、ガイドラインに沿う形でユーザビリティを改善する必要がある。

各府省による障害者の雇用がやっと進みつつある。また、障害を持たない政府職員も加齢や交通事故、あるいは病気の進行で障害を持つ可能性がある。障害を持つ持たないにかかわらず決裁システムを利用できる必要がある。

僕は次のように指摘した。

国は障害者の採用を増やしているところであり、障害者も政策決定に参画し電子決裁を行うこととなる。新システムにおいては障害者に配慮する情報アクセシビリティへの対応が必要ではないか。

事業担当の行政管理局からの回答は、その場でのメモによると次の通り。

新システムの整備に当たって、ユーザーのニーズをしっかりと把握した上で、ご意見のあったアクセシビリティ向上策も含め、デジタルガバメント推進標準ガイドラインなどに沿って必要な対応を行ってまいります。

新システムではユーザビリティとアクセシビリティが改善され、各府省で広く活用されるように期待する。

担当課は僕からの指摘も含め誠実に回答した。回答に合わせて事業を見直す必要があるので、公開プロセスの結論は事業内容の一部改善となった。