謝罪のインバスケット!うまい謝罪はプラスの効果を生む

2019年06月27日 06:00

かっちゃん/写真AC(編集部)

危機が発生した際の対処方法によっては、逆に会社の信用が増す場合があります。謝罪の方法はさまざまですが、状況次第では好転し誠意は共感されることがあります。

危機の発生をむしろチャンスと考えて平静に事に臨む姿勢も大切です。ここでケースを紹介します。一緒に考えてください。

マノ出版(仮名)は大手ビジネス誌を手がけています。出版業界が不況といわれるなか創刊以降、順調に部数を伸ばしてきました。とくに好評だったのが自衛隊出身の人気コラムニスト、稲葉タダシ(仮名)による軍事力シリーズです。

これまで「平安時代の軍事力」「鎌倉時代の軍事力」「室町時代の軍事力」「安土桃山時代の軍事力」とつづき、4月から「シーズン5:江戸時代の軍事力」がスタートしています。

ところが、作者に無理がたたり、過労でダウン。精密検査をしたところ、3ヶ月の絶対安静を診断されました。人気シリーズだけに読者を裏切らない謝罪文を掲載したいと、マノ出版では考えています。

連載の休載はよくあることですが、そっけない一文が載ることが一般的。楽しみにしていた読者にとっては物足りません。ここは、復帰を想定して期待を醸成しておくのが得策です。ただし、堅すぎる表現ではなく自筆を載せるなど知恵を凝らしたいものです。

--ここから--
「シーズン5:江戸時代の軍事力」休載のお詫び

皆さま、稲葉タダシでございます。
今週号の「江戸時代の経済学」から休載になりお詫び申し上げます。
じつは1ヶ月前あたりから体調不良でした。
どうにかごまかしながら書いていたのですが3日前にダウンしてしまいました。
検査の結果は胃潰瘍、無理がたたったようです。
近いうちに復帰しますのでお待ち下さい。

追伸

申し訳ございません。現在、稲葉タダシは入院中です。
しばらく休載しますが、復帰しますので、お待ちいただければと思います。

マノ出版
編集長 大城かつひろ
--ここまで--

ポイントは作者が登場することです。自筆ならさらに効果的でしょう。痛みに堪えて、筆跡が流れていたり、病院のベッドの写真があれば完璧です。

この謝罪文は、謝罪ではなく宣伝に近い効果が期待できます。読者の期待を一心に集めて、連載復活の際にはさらに話題となり宣伝効果が高まります。

また、編集部としても読者への感謝と、連載の意義を伝える大変いい機会となります。編集後記として、編集長みずからの名前で、感謝と意義を語りながら、作者への期待(この場合は、稲葉タダシの評価。潜在能力は折り紙つき、国内でも稀有な存在など)を記せば、休載の影響など凌駕してプラスに転じることができるはずです。

さて、今月、14冊目となる『3行で人を動かす文章術』を上梓しました。正しい文章を書きたい人には役立つ内容ではないかと思います。

尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)

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尾藤 克之
コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員

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