Yahoo!ニュースを公的に規制すべきか?

2019年06月29日 06:01

きのう(6月28日)は、六本木のGLOCOMで、『ハックされる民主主義 ~デジタル時代の「選挙介入」対策を考える』というシンポジウムがあって客として参加してきた。

登壇者は、デジタルコミュニケーションの問題に詳しい有識者やメディア関係者の皆さんで、去年、沖縄県知事選の前に書いたようなサイバー空間を通じた外国勢力による選挙戦への介入や、フェイクニュースなど、海外の実例を共有したり、来たる参院選に向けて「有事」が起きた際にどうするかを考えたり、学びの多い機会だった。

そこでの所感などの詳しいことは機会を改めて書きたいが、メディアやプラットフォームつながりで宣伝もさせてもらうと、今週発売の『月刊HANADA』8月号がメディアの「偏向」問題を特集するということで、筆者も寄稿させていただいた。題して「Yahoo!ニュースの“朝日”化を憂う」。大物論客、門田隆将さんの「朝日新聞は『終活期』に入った」などと同じラインナップに入れていただいたので、コワモテの保守論考ぽさを感じてしまう読者は多いかもしれない(苦笑)。

もちろんHANADA愛読者の期待にもお応えして、Yahoo!ニュース個人に寄稿する左派系有識者のオピニオン記事には相応の指摘はさせてもらっている。また、Yahoo!ニュースの体質等について筆者が苦悩させられた「暗闘」についても思うことを赤裸々に述べたので、ぜひお読みいただきたい。1万字に迫る論考となった。

ただ、ここで重要な補足をしておくと、私が一番いいたかったのはそこではない。今や、地上波テレビの下手な番組よりも社会的影響力を持つに至ってきたYahoo!ニュースのプラットフォームは2012年以降、独自記事を本格的に作り続けてきた。独自記事を作るということは作り手の「意思」を持つことは避けられない。

しかし、そのことに対して社会的にどう受け止めるか?特に政治系のコンテンツについての扱いはどうなのか、そろそろ社会的に考えなければいけない時期に入ったことを知ってもらいたい一心だった。

ネットメディアにはここまで、テレビの放送法のように「意見が対立する問題では、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」(同法4条の4)といった政治的公平性に関する公的規制はない。あるいは新聞協会や放送協会、BPOのように業界内団体による自主ルールを適用して政治的公平性を保つという方策もあるかもしれないが、例えば最近発足したインターネットメディア協会には、Yahoo!ニュースは参加していない。

国籍問題の時は事実関係より蓮舫氏擁護を優先したYahoo!ニュースの独自記事(Yahoo!ニュースより)

Yahoo!ニュースの場合、「自社ルール」として対外的には「Yahoo! JAPAN メディアステートメント」を公表し、「信頼性と品質」「多様性の尊重」「豊かな情報流通」の3点を謳っている。政治ニュースに関して明言こそしていないが、この中の「多様性の尊重」において

多様な価値観に基づいた情報を扱う責任を自覚し、特定の権力・団体や思想・信条に与することなく、理解や判断の助けとなる場であり続けます。

と宣誓しており、この考えに基づいて運用しているというポジションを取るのかもしれない。

しかし、産経新聞の白岩賢太・irrona編集長が『正論』6月号で「ヤフーニュースは左傾化してないか?」という論考を書いていたのをあとで知ったのだが、筆者以外にもいろいろな人が疑義を呈しているのも事実だ。筆者自身、Hanadaで詳しく書いたが、ある役員の「暗躍」も変更の背景にあるのではないかと気になる。

だからといって、Yahoo!ニュースの関係者が筆者と本稿を「ネトウヨの戯れ言」と受け取るのであれば、それは早計でしかない。念のため、誤解ないように言っておくと、筆者はネットの政治ジャーナリズムに放送や新聞のような規制はすべきではないと考える。それは業界内の自主規制に対しても同様で、大手のネットメディアが業界団体を作っていく動きにも距離を置いている。

Yahoo!トピックス(Yahoo! ポータルサイトより)

ただし、多種多様な媒体からコンテンツを預かり、月間200億PVとも言われる規模のプラットフォーマーとなれば、日本社会におけるプレゼンスがあまりにも際立っている。これが一媒体なら政治的論調は、ウヨだろうが、サヨだろうが、好きにすれば良いが、プラットフォーマーの特殊な公共性からすると、会社の自主性に依拠した管理のままでいいのか、そろそろ社会的に議論をする必要を感じているところだ。

折しもマクロン大統領がG20で来日中のフランスではメディア法を改正し、フェイクニュース規制を強化。ツイッターの米本社もこのほど政治家や候補者らの規則違反ツイートに警告表示する措置を開始するなど(対象は日本など諸外国も含む)、世界的にプラットフォーマーの縛りがきつくなる傾向にある。日本のネットニュースの巨人、Yahoo!ニュースとて、いつまでも無関係でいられるかはわからない。

新田 哲史   アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長
読売新聞記者、PR会社を経て2013年独立。大手から中小企業、政党、政治家の広報PRプロジェクトに参画。2015年秋、アゴラ編集長に就任。著書に『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)など。Twitter「@TetsuNitta」
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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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