世界経済は現場じゃない、会議室で決まる!かも?

先週28日〜29日、大阪でG20首脳会議が開催されました。期間中の大阪は厳戒態勢が敷かれ、「車で移動が出来ない」「お店にお弁当が並んでいない」など、市民生活に一部影響が出たそうですが、それだけ世界各国から重要な人物が来て行われた会議でした。

先日、知っトク解説”G20″でも取り上げましたが、G20首脳会議というのは、リーマン・ショックを契機に発生した経済・金融危機に対応するために開催された緊急会合がキッカケで開催されました。あの時は世界経済の危機を回避するためにG0で協調することができました。

基本的にG20は自由貿易を推進してきましたが、トランプ大統領誕生後は自由貿易を言えなくなっています。トランプ氏の推進する保護貿易に対して反保護貿易主義を唱えられない、すなわち自由貿易を言えなくなっている状態です。今やG20諸国で一番、自由貿易を大きな声で言っているのは皮肉なことに中国です。しかしその中国も純粋に自由貿易と言えません。企業があり、国があり、共産党がイコールで運営をしている国家資本主義と言われているわけです。まさに世界にとっての問題でもありますが、米中貿易戦争の根幹部分です。

こうした大きな国際会議の場は2国間会談の場でもあります。特に日米首脳会談と米中首脳会談に注目が集まっていました。すでにG20前に様々な仕込みは行われてきました。例えば、今月20日から21日に中国の習近平国家主席は北朝鮮を訪問しました。日本は北朝鮮との間で拉致問題を抱えています。これについて、日中首脳会談で習近平氏は「日本の立場を北朝鮮に伝えた」と言いました。

アメリカは北朝鮮の非核化問題を抱えています。これについては、ベトナムでの米朝首脳会談が合意できずに終わっている中で、米中首脳会談で何が話されるのかで、トランプ大統領は26日に、「今回の大阪で米中が貿易協議で合意できなければ、追加関税を発動する」と言っていましたが、どうやら決裂だけは回避されたようです。

今回のG20は、日本にとって今年最大の外交舞台となりました。もちろん世界にとっても大きな意味のある会議です。米中貿易戦争を軸に世界経済が萎縮しつつある中、これからの世界経済がどうなるのか、そしてそれは必ず私達の景気に影響します。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年7月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。