「日米同盟は不公平」米国は真剣にそう考えている --- 古森 義久

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

「日米同盟は片務的であり、共同防衛の必要性があっても自衛隊は日本領土以外には派遣されない。米軍が目の前で攻撃されても、支援できない。この状態への米側の識者の不満は強くなっている。米国民の多くは、米国が日本のために防衛努力をしても日本側は感謝していないと思っている」

この批判は、トランプ大統領の言葉と思われるかもしれない。米国のトランプ大統領が日米同盟の片務性に不満を抱き、今回の訪日時に批判を口にしていることが伝えられている。

だが、実は冒頭の批判はトランプ大統領の言葉ではない。今から22年前の1997年に、米国で発表された研究内容の総括なのだ。米国でも最大手の研究機関「外交問題評議会」が同年5月末日に発表した「日米安全保障関係報告書」の主要部分である。

この報告書は、当時の民主党ビル・クリントン政権下で、同政権の高官を含む超党派の専門家約40人により半年以上をかけて作成された。研究グループの中心となったのは、民主党政権で国防長官を務めたハロルド・ブラウン氏と共和党政権で国防副長官だったリチャード・アーミテージ氏だった。

同報告書には結論として、「日米同盟は片務性のために実際の戦争が起きた際には有効に機能せず、米国民が日本の防衛責務の少なさに憤慨して、同盟崩壊にいたる」と警告していた。その時点での日米同盟は有事に役立たない「張り子のトラ」だとする辛辣な表現までがそこには書かれていた。

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