日米を「忠犬と主人」…朝日天声人語は若者の心を傷つけるな!

7月3日朝刊に掲載された朝日新聞の天声人語は品位を欠いた表現になっており、日本人として恥ずかしい。諧謔のつもりだろうが、過度に自虐的で読者に心寒い思いをさせる文章を掲載しないで頂きたい。

朝日新聞社サイト、The White House/flickerより:編集部

朝日新聞を読んでいない方も多いので、要旨を引用すると以下の通り。

7月3日の天声人語(紙面)

…あくびは伝染するというこの現象、どうやら理由があるらしい。(略)▼あくびをしている人を見ると、同じような気持ちになってしまうという。知らず知らずに働く伝染力があるのか。さて以下は、あくびというより、ため息の出る話である。トランプ大統領の振るまいも、どうやら伝染するようなのだ▼米国が中国に仕掛けた貿易戦争さながら、日本政府が韓国への輸出規制に乗り出した。(略)韓国側にも問題があるにせよ、これでは江戸の仇を長崎で討つような筋違いの話だ。▼ちなみに人のあくびは犬にも伝染するらしい。忠誠を尽くす飼い主から特に影響を受けやすいとの研究結果がある。日本政府の場合は、こちらに近いか

(引用おわり、下線と太字は筆者)

共感の得られにくい風刺

この天声人語の最後に、飼い主と忠誠を尽くす犬(忠犬)の間であくびが伝染する研究結果を持ち出し、それにかけて次の四項類推を提示する。

米国:日本政府=飼い主:忠誠を尽くす犬”

多くの大人が公に口することを自粛している対比ではないか。

せっかくの配慮を台無しにする野暮な一文である。

言いたいことは理解できる。しかし米国を人間とする一方で日本政府を犬に喩えるのは自虐が行き過ぎである。新聞は国内外に広く公開される報道媒体なのだから過度の自虐表現には共感が得られにくい。一番残念なのは日本の若者への悪影響である。

天声人語書き写しノートを忘れるな

実は、朝日新聞社から、「天声人語書き写しノート」という商品が販売されている。これは大人が小論文の練習をしたり、脳トレ的に活用したりしているらしい。しかし、大人だけでなく、学生も日記のように天声人語の「写経」を継続させられていることがあるのだ。むしろこちらを狙った商品かもしれない。

「合格者は朝日新聞を読んでいた」
「朝日新聞の記事が試験問題に使われた」
「天声人語を書き写すことで文章力や読解力が高まる」

このような因果関係も相関関係も定かでないマーケティングにのせられて、天声人語は教育の場面でも活用されていることを思い起こしてほしい。

自虐的なスタンスの文は若者に悪影響

日本を貶める文章が満載された天声人語を、次世代を担う若者が「写経」によって日々脳裏に焼き付けているのは、深刻な問題である。これからも多くの先生と学生が、朝日新聞のマーケティングを信じて「写経」を続けることは誰にも止められない。せめてその題材となる天声人語自体は、品格を保った希望のある文章で表現して頂きたい。

朝日新聞は、下品で意地悪な風刺は英米の新聞に任せておけ。

田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。