上司の方針は“コロコロ変わるもの”と理解すべきである

尾藤 克之

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「上司の方針がコロコロ変わる」「言っていることに一貫性がなくて、仕事の手間が増えるばかりだ」。このように嘆くビジネスパーソンは少なくありません。

たしかに、進めていた仕事が上司の方針転換によってやり直しになったら、モチベーションが下がってしまいます。

しかし現実的には、方針や言うことがコロコロ変わる上司はたくさんいます。むしろ私の感覚では、立場が上の人間ほど、けっこうな頻度でコロコロ意見や考えが変わるようにすら感じます。これは別の見方をすれば「臨機応変である」ともいえるわけです。

現場のプレイヤーの立場だと、とにかく目の前の仕事を終わらせることに意識を集中させてしまいがちです。しかし、働くことの本来の目的はそうした作業を完了させることではありません。また、上司はより俯瞰的な視点を持っているものです。

状況の変化に合わせてつねに適切な戦術、戦略を練り直す必要性を実感しているともいえるのです。私たちは無意識的に「方向性がコロコロ変わるのは良くない」という先入観を持っていますが、それが本当に正しいかはわかりません。

こうしたことを勘案して、「上司の意見がコロコロ変わるのは当たり前のことである」と受け入れてしまえば、そうした方針変更に対応することも仕事の一部であるという意識に変わることができます。

最初からそのように考えていれば、仕事のやり方もいろいろとやりようがあるものです。優秀なビジネスパーソンの場合、上司から言われた通りの仕事だけではなく「ちょっとわき道にそれること」「まったく正反対のこと」のケースもそれぞれ考えています。

最初から「こんな方向性に変わるかもしれないな」と予測しながら仕事をすれば、すばやく対処できますし、余計なフラストレーションが溜まることもないはずです。

さて、14冊目となる『3行で人を動かす文章術』を上梓しました。社内で評価される正しい文章を書きたい人には役立つ内容ではないかと思います。

尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)