私の参院選争点:既存政党とのマッチ度が低い一市民の憂鬱 --- 浦野 文孝

2019年07月09日 06:01

参院選が公示され、Yahoo!政治に政党との相性診断というサイトが開設された(選挙ドットコム、早稲田大学マニフェスト研究所との共同企画)。

各党の政策がわかりやすく紹介されていて、結構おもしろい。

ヤフー特設ページ(参議院選挙2019)より:編集部

憲法9条改正、高等教育無償化、年金支給年齢引き上げ、消費増税、アベノミクス、外国人労働者増加、トランプ政権との関係強化、日朝無条件会談、議員定数削減、夫婦別姓の10の設問があり、それぞれ賛成から中立、反対まで5段階で回答するようになっている(残念なことにエネルギー政策の設問がない)。

筆者には支持政党がない。いったいどんな結果になるのだろうと早速試してみたところ、マッチ度1位が自由民主党の50%、次が共産党の40%と出た。

どの政党もマッチ度が半分以下で、マッチ度が高いのが自民党と共産党の両極端という結果に、思わず納得してしまった。

設問がもっと細かければ、さらに混迷する結果になっただろう。

たとえば9条改正問題。筆者は9条に自衛隊を明記することには賛成だが、集団的自衛権に踏み込んでいる安保法制には反対だ。同じような考えの有権者はいったいどの政党に投票したらいいのだろうか。

現行憲法は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と規定しており、普通の日本人には自衛隊は憲法違反としか読み取れない。

改正が必要ないと言っている人たちは13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」等を持ち出して9条よりも上位に置き、生命・自由・幸福を追求する権利を守っているのだから自衛隊は合憲だと説明しているが、無理やり感が半端なく、筆者にはこじつけにしか聞こえない。

一方で、9条は自衛隊の海外派遣を抑制する役割を果たしてきたのは確かである。

安保法制はその歯止めをなくしてしまった。

9条にかつての武力行使3原則の1つ、「わが国に対する急迫不正の侵害があること」を明記し(新3原則の「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」を廃止し)、個別的自衛権に限ることを明確にすべきと思う。

この点では筆者の主張は国民民主党(自衛隊が・・・海外で武力行使をすることのないよう・・・自衛権を行使できる範囲を明確にすべき)に近いのかもしれない。

同じように、立憲民主党の山尾志桜里氏は自衛権に歯止めかける改憲を主張しているが、立憲内でその議論はどうなったのだろうか。

もう1つ、たとえば税制・財政・年金問題…筆者の主張は高福祉高負担である。

年金の水準は下げるべきではなく、むしろ水準を上げることが、国民に将来の安心感をもたらし、ひいては消費の拡大、経済成長につながると思う。

年金・医療・教育の分野で政府支出を惜しむべきではない。

だからといって高福祉の財源として、れいわ新選組が主張するMMT(現代貨幣理論)のように、国債を増発して、紙幣を増刷すればいいというような無謀な政策は考慮に値しない。過度なインフレが発生したときに、これを抑制できるなどと考えるのは、市場に対する思い上がりだ。

れいわの主張はリスクを説明しない金融商品の勧誘と同じで、悪質だと言ってもいい(非現実的な公約はれいわに限らないが)。

財源は増税に求めるしかない。筆者は、年金は賦課方式をやめ(積立方式でもなく)、税方式にすべきであり、消費税を財源に充てるべきだと思う。年金保険料が消費税に代わるだけだから現役世代の負担は変わらず、高齢者にも一部を負担してもらい負担の公平化を図る。

低年金・無年金を解消する。思い切って「年金倍増計画」ぐらいをうたう政党はないのだろうか。政府支出の無駄を削減する改革は当然必要だが、民主党政権の「仕分け」も大した効果は上げられなかった。

増大しているのは社会保障費であり、他の支出を少しばかり削減したところで焼け石に水である。
年金はじめ社会保障費の財源は増税しかない。

安倍首相のように「今後10年間は消費増税は必要ない」などと姑息なことは言ってはいけない。「年金の財源とするために、20XX年にはYY%まで上げるが、それ以上は上げない」といった見通しを示すことが、国民を安心させると思う。

しかし、今はその道筋がわからないから、国民は不安を抱いている。安倍首相は9条改正も2項はそのままにして、3項を追加して自衛隊を明記するというような姑息な提案をしていて、誠意が感じられない。

一方、消費税を年金に充てるために、別の財源も必要になり、富裕税(純資産税)創設や所得税の累進課税強化等を検討する必要がある(その点では筆者の主張は共産党に近い)。

「9条に自衛隊と個別的自衛権を明記し、安保法制は廃止する」「年金は税方式にして消費税(消費増税)を財源とし、高福祉高負担を目指す」…そんな政策をうたう政党ができたなら、筆者は喜んで投票したい。

そんな筆者は参院選では消極的選択で野党に投票する。
野党がいつか、いい意味で変節してくれることを願う。

浦野 文孝  元ジャーナリスト
1961年生まれ、愛知県出身、千葉県在住。大学卒業後、団体職員・雑誌記者等を経て現在は食品会社勤務。政治に関心の高い一般市民。関心の高い分野は外交防衛、年金、皇室等。


【おしらせ】「私の参院選争点」論考を募集しています

いらすとや

2019年7月の公募原稿のテーマは「私の参院選争点」です。憲法改正論議が現実味を欠き、年金問題もほぼ沈静化。全く盛り上がらず、投票率の低下が危惧されています。

だからこそ各党や候補者たちに問いたい「あなたの争点」は何でしょうか。21日の投票日に向け、アゴラではあなたの論考をお待ちしています。

掲載については20日までとし、原稿の受付は17日までといたします。

投稿は800〜2000字。お名前・ご所属・肩書・簡単なプロフィール(100字程度)などを記載して、メールに直接書いていただいても、テキストファイル、ワードファイルの添付でも構いません。原則実名制で、ペンネームの使用は認めておりませんが、著述活動の実績等で特例を認めることもありますので、編集部にご相談ください。

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