投票の秘密が守られない狛江市の代理投票

2019年07月09日 16:00

投票用紙に文字を記入できない選挙人(有権者)に代わり、有権者の指示に従って補助者が投票用紙に記入するのが、公職選挙法第48条に規定される代理投票である。

写真AC

東京都狛江市選挙管理委員会のサイトには代理投票手順の説明がある。しかし、この手順では投票の秘密は守られないし、視覚障害者への配慮もない。

受付で代理投票を求めると投票所の事務従事者2名が補助者として投票を助ける。有権者は補助者と共に投票記載台に行き、記載台に貼付されている候補者名一覧の中から投票したい候補者を指さす。補助者1名がそれを投票用紙に記載し、他の補助者はこれを監視する。狛江市の定める手順はこうなっている。

投票所には記載台が並んでいる。隣りの記載台には他の有権者がいる。その状態で投票したい候補者を指さして投票の秘密は守られるだろうか。

参議院選挙のように政党にも候補者にも投票できる選挙では、候補者名一覧は小さな字になってしまう。それでも投票したい候補者名は伝わるだろうか。誰を指したかわからないので確認しようと補助者が候補者名を声にしたら、投票の秘密は失われる。

総務省「投票環境の向上方策等に関する研究会」は2018年8月の報告で、代理投票には「衆人の前で投票を行うことにより投票内容が周囲の選挙人に知られてしまうといった投票の秘密の確保に係る懸念の声がある」としたうえで、「仕切りなどで外部から見えにくい間取りとすることなど」を優良事例として推奨している。

投票用紙に文字を記入できない有権者には視覚障害者も含まれる。視覚障害者は投票したい候補者名を指させないから、声で意思を伝えるしかない。仕切りがあったとしても声は外に漏れるから、研究会が進める優良事例でも不十分である。別室を用意する必要がある。

視覚障害者は点字投票すればよい、と思う人がいるかもしれない。しかし、厚生労働省の調べでは点字をコミュニケーション手段としているのは8.2%と、大半の視覚障害者は点字を利用できない。成人になってから障害が発生する人が多く、その段階から点字を習得するのがむずかしいからだ。

狛江市の代理投票手順には欠陥がある。参議院選挙投票日までに改善して欲しい。

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