エネルギー:中チャン。参議院議員選挙スペシャル

中チャン。
参議院選挙スペシャル。
12日目はエネルギーです。

「エネルギー自給率を高めること」は日本の自立にとって最も重要な課題だと考えます。
現在、我が国は石油を全て海外からの輸入(日本の原油輸入依存率は99.7%(2017年度))に頼っていることは周知の事実です。

石油をはじめとした、我が国のエネルギーを調達していくためには、「安全保障:中チャン。参議院議員選挙スペシャル」でも述べたように、貿易上・戦略上、重要な価値を有し、有事に際して確保すべき海上交通路(シーレーン)の確保が重要になります。脱石油を進める理由は「化石燃料がいつまで続くのか」という問題と、「CO2の排出削減」を達成する為にも重要です。

そうなると電力が重要になるわけですが、その電力も火力発電は石油、天然ガス、石炭などのまさに化石燃料を使用しています。CO2の削減を考えると重要になるのは原子力発電です。ところが原発は原発事故時の問題と核廃棄物処理問題が課題です。

現在日本の電力供給バランスは、火力発電が84%(石油 12% 天然ガス 39% 石炭 33%)、水力発電は8%、再エネ(水力以外)は7%、原子力発電は2%です。東日本大震災後、原発はわずか2%となっており、その分、火力発電が増えてCO2の排出が増えているという状況です。

CO2の問題だけではなく、イランの核開発問題で今まさにホルムズ海峡が世界の大きなリスクになっています。それは、石油などが入ってこないというリスクもあるんです。
【過去記事 2019.6.19 タンカー攻撃:出来事も起こった場所も、大きな問題】
私は脱原発依存に賛成で、それは中長期的に日本が目指していかなければいけないことだと考えます。先ほどの電力供給のバランスですが、各国比較を見てみると脱原発を宣言しているドイツの原発は日本より桁違いに割合が多いです。

私は日本も短期的には安全が確認された原発については再稼働しながら、そして中長期的に再生可能エネルギーを増やしていく、これを基本にしなければいけないと考えます。再生可能エネルギーの技術向上、コスト削減、供給量アップ、これによって相対的に原発のウェイトを下げていく、これが中長期的にやるべきことだと考えるわけです。

私は原発をどんどん減らしていくことに賛成ですけれども、ただ一言だけ添える必要があります。
「原発をゼロにしてはならない。」世界最高水準の原発を一機でも日本はしっかりと稼働し続ける必要があると考えています。

実用化している原発をしっかりと維持するからこそ、技術そのものが維持され、そしてまた世界の原子力の様々なリスクに対しても日本自身が対応していく、そうした技術を保有することが可能だからです。『「原発は危ない」「原発は怖い」だから原発をなくそう』となるのはダメです。責任を有する政治家としては、国力維持するためにも、原子力という技術を日本が失ってはならないと思います。

さてすでに言ってきた通り、再生可能エネルギーはどんどん増やしていくべきだと思います。まず太陽光ですが、技術的には太陽光発電は確立されていますけれども、日照時間などにより不安定さがありますから、蓄電池技術の向上などを図らなければいけない。

すでに車は燃料電池車で走り始めていますが、これには水素が欠かせません。現状ではこの水素は天然ガスや石油類から作っています。燃料電池に水素は欠かせないのです。

水から水素を作るということは、まだまだコスト的に合わないわけですが、国の総力を挙げてこうしたことに取り組んで、水素の国内製造と自給ができるようにしていくことが大事だと強く思います。

地熱発電、そのための地熱は日本では全くと言っていいほどを活かしていません。
地熱資源はアメリカ、インドネシア、続いて日本は第3位です。ところが発電設備の容量では世界10位になります。最近ではケニアにも迎えました。国立公園内の地熱資源などを積極的に活用していく道をもっと開きたいと思います。

また日本は水に恵まれていて、河川や田んぼも多くここでも発電ができますが省庁の壁があります。
電力は、経産省、河川は国交省、水田は農水省、そこに縦割りの弊害があります。

政治が主導して、再生可能エネルギーを増やさなければなりません。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年7月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。