世界景気、秋の株価異変は起こりうるのか?

2019年07月17日 14:00

まだ7月なので秋の話をすると何を言っている、と怒られるかもしれませんが、私を含め、投資家は秋は嫌な印象があるのです。トラウマに近いものと言ったらよいでしょうか?株価が激変しやすいのであります。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

古くはブラックマンデー、リーマンショック、その後も秋に株価が崩れたのが2011年、15年、16年、18年で一年を通じて一番崩れやすい時期であります。

そして今年も崩れる要因はたくさんありそうです。

まず世界中で何らかの問題が起きています。米中通商問題、アメリカとイランの問題、英国のEU離脱問題、欧州の覇者ドイツのリーダーシップ弱体化、日韓問題、中国経済と国内統制や香港問題…

このどれが火を噴いても今の株式市場には大きなダメージが見込まれます。そしてそれらに市場があまり身構えていないことも気になります。その背景にはアメリカを中心とした専門家の楽観論があります。特にFRBが利下げで当面はアメリカの景気をコントロールする上にドル安を演出するだろうという期待感がその楽観視の最大の拠り所となっています。

もう一つはトランプ政権に対する経済問題などへの期待度が就任当時に比べてはるかに安定的である点です。支持率は調査機関によって違いますが、6月中旬時点で40-43%程度でこの数字は就任以降、決して高くはないですが、ほぼ安定した状態を維持しています。

民主党は大統領選挙に向け候補者乱立であり、どこに向かうのかいまだはっきりしていません。が、例えば有力候補の一人、エリザベス ウォーレン上院議員はGAFA解体論者であり、自分が当選したら当然、そうすると述べています。支配企業解体をめぐってはマイクロソフトがその犠牲者として有名であり、同社は10年間水面下を経験しています。その間、アメリカは決して強いというイメージはなかったでしょう。

となれば急所の一つとして、トランプ大統領の再選が危ぶまれるリスクが株価に影響することになります。例えば米中通商問題が大統領選が本格化する秋になっても解決の目途が立たない、あるいはイラクと砲火を交えるということになれば「トランプリスク」が着目されることになります。

目を転じて欧州はどうでしょうか?英国の首相選はもうすぐ決着がつきますが、多分、ボリス ジョンソン氏で間違いないと思います。同氏の言動は不安定なので最後まで見届けないと分かりませんが、合意なき離脱はあり得るとみています。

その際、英国のみならず、欧州側の混沌を誰がどう抑えるか、であります。EUは主要メンバーがこの秋、全員交代の時期になります。つまり、交渉の矢面に立つEU側が新しい顔ぶれでベテランがいないという弱点、およびドイツのメルケル首相の健康問題が非常に気になるところです。大陸側はフランスのマクロン大統領に頼るところが多くなりますが、そのマクロン氏も一時は史上最低水準の支持率だっただけにその手腕にはいまだ疑問符が残ります。

日経は「米株高は最後の宴か 長短金利逆転下、金融相場は過熱」と報じています。要は短期金利の方が長期金利より利率が高い(逆イールド)のは株価調整が近いことを暗示しているという内容です。これは割と当たることも多く、あまり無視できない兆候であります。

個人的に期待する、そんなことにならないシナリオとしては、米中通商問題が早々に解決し、アメリカの金利政策が下落バイアスからフラットに戻ることで、まずは逆イールドを解消し、専門家の不安を取り除くことでしょう。次いで、世界中で起きている不和に何らかの解決策を見出すリーダーシップが必要です。

リーマンショックに端を発してPIIGSなど欧州危機を乗り越えられたのは欧州首脳陣の強い協調でした。今はそれが期待できない中でどうするのか、そしてG7でメルケル首相に次ぐ長さとなった安倍首相の安定したかじ取りを日本だけでなく世界で発揮できるか、ここにかかってくるかもしれません。

市場関係者は夏休みで割と閑散相場が続きますが、こんな時こそ、数か月後の市場を読み込む必要がありそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年7月17日の記事より転載させていただきました。

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