バロンズ:10年の強気相場を経ても、米株こそ最上の投資先

2019年07月22日 06:00

バロンズ誌、今週はカバーに日本のソフトバンクを掲げる。日本一のプロ野球チームから中国オンライン小売大手アリババまで、幅広い。ソフトバンクの創業者で最高経営責任者(CEO)である孫正義氏は自社の投資を銀河に例え、「300年先も光り輝いているだろう」と語る。また、その手法を財閥に似て非なる者と位置づける。そのソフトバンクは非常に割安だが、果たしてポートフォリオに組み入れる価値があるのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

(カバー写真:Kevin Gessner/Flickr)

(カバー写真:Kevin Gessner/Flickr)

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は強気相場が続く米株が未だに買いであると説く。抄訳は、以下の通り。

10年の上昇相場を経ても、株式が最上の投資先である理由—Why Stocks Are Still the Best Investment, Even After a 10-Year Run.

2019年上半期に上昇を迎えた後も、米株は未だに最上の投資先である。S&P500種株価指数は今年20%のリターンを遂げ、15日週も1.0%安で引けたが、終値ベースの過去最高値である3,014に程近い2,976で取引を終えた。アドバイザーズ・キャピタル・マネジメントのチャールズ・リーバーマン最高投資責任者(CIO)は「米株にとって理想的な環境は低成長、低インフレ、そして低金利で、我々はその全てを有している」と話す。

S&P500は決して割安ではなく、予想株価収益率(PER)は18倍を超え、配当利回りは1.9%だ。その半面、米10年債利回りは2.05%である。

リーバーマン氏を始めとした専門家は、銀行やその他の出遅れ銘柄に注目する。主要な銀行の2019年の平均PERは10倍で、過去最低に近く、配当利回りは3%近い。4〜6月期の決算も軒並み市場予想を超え、銀行業界の最大手であるJPモルガン・チェースの一時的要因を除く1株利益は前年比で13%増だった。

カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は、6月までの会計年度で前年比6.7%のリターンを遂げた。カルパースを始めとする多くの公的退職年金基金や大学の寄付基金は、未上場株やヘッジファンドのようなオルタナティブに投資しているが、それらは2018年6月までの10年間でS&P500あるいは、75%/25%の株式・債券投資を下回ってきた。こうしたトレンドは、今後も続く可能性がある。S&P500は10%以上、米債は8%以上のリターンを遂げてきた。対して、デビッド・スウェンセン氏率いるイエール大学の寄付基金のリターンは、米株上昇の波に乗り遅れたため3%程度だった。

S&P500、今年のリターンはどうなる?

(作成:My Big Apple NY)

(作成:My Big Apple NY)

未上場株は、年金ファンドや寄付基金に力強いリターンをもたらしてきた。しかし、ゲームは変わりつつある。未上場株の投資で知られるブラックストーン・グループは、4〜6月期に運用資産が前年同期比24%増加し、5,450億ドルとなった。リターンはというと、高成長が困難となりつつある。ブラックストーンの目玉商品であるコーポレート・プライベート・エクイティ・ビジネスのリターンは、上半期に5.3%高に過ぎなかった。340億ドルの上場株・未上場株のポートフォリオを押し下げたのは、エネルギー投資の他、13%下落した自動車部品大手ゲイツ・インダストリアルである。

ブラックストーンのジョナサン・グレイ社長は前週行なった四半期決算発表後のカンファレンス・コールにて、「一時的なもの」と回答していた。プライベート・エクイティ・ファンドは、上昇相場でS&P500のリターンを下回る傾向があるが、ブラックストーンの結果はプライベート・エクイティの投資環境が悪化してきた可能性を示唆する。

いつもな辛抱強いバークシャー・ハサウェイの投資家は、ウォーレン・バフェットCEOが1,000億ドルの現金を放置し、十分な自社株買いを行なっていない点に不満を抱きつつある。バークシャー・ハサウェイのクラスA株は30.9万ドルで、年初来のリターンは1%高と、ここ10年間でS&P500に対して最低にとどまる。同社株は10〜15年前まではS&P500のパフォーマンスと同等だったものの、過去5年にわたってS&P500のリターンを下回ってきた。バフェット氏の評判とバークシャーの多くの利点を踏まえれば、失望でしかない。ウエッジウッド・パートナーズのデビッド・ロルフCIOは今年に入り、現金保有高の多さを踏まえてバークシャー・ハサウェイ株をポートフォリオから削減した。89歳になるバフェット氏の後継者問題もあり、バークシャー・ハサウェイの投資家には疑問が積み上がりつつある。

破産と企業再編によって投資家が損失を被るリスクをはらむが、押し目買いの選択肢としては、高利回りと安全性を兼ね揃えた社債が挙げられよう。

家庭用品小売大手ベッド・バス・アンド・ビヨンドの2044年償還予定の社債利回りは8.3%で、価格は67セントである。かつてオンライン小売大手アマゾンの脅威に直面したが、依然として利益を確保し、債務も6億ドル程度だ。対して、ベッド・バス・アンド・ビヨンドの株価は2018年から45%下落し10ドルで、2014年の80ドル台から大幅安となっている。

天然ガス大手のサウスウエスタン・エナジーの株価は、天然ガス価格が年初来で20%下落につれて、過去1年間で50%下落し2.5ドル程度だ。2026年償還予定の社債利回りは9.25%で、90セントで取引されている。債務は23億ドルだがキャッシュフロ—を踏まえれば管理可能な水準だ。

欧州の銀行は、過去5年間で米銀に大きく遅れをとるようになってしまった。例えば欧州が誇る6行、即ちUBS、クレディ・スイス、バークレイズ、BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、ドイツ銀行は、時価総額を合わせても2,000億ドルに過ぎず、バンク・オブ・アメリカ1行にも及ばない。ドイツ銀行の株価に至っては、2007年から90%下落し7.70ドルという有様だ。

欧州大手銀の6行は、有形資産の0.3〜0.9倍で取引され、ゴールドマンサックスやシティグループの1〜2倍を下回る。欧州の銀行は弱いリターンに加え、マイナス金利と国債利回りの圧力にも直面している。

ドイツ銀行っは再編計画を発表し、不採算の海外投資銀行部門の閉鎖を決定、欧州に力点を置いた商業銀行に生まれ変わろうとしている。投資家は、収入、コスト、リターンなどといった2022年までの目標達成に懐疑的だ。また、増資を回避できるかにも疑問をもつ。

そのドイツ銀行の復活を信じるのは、かつてJPモルガン・チェースの取締役を務め、現在はハドソン・エクゼクティブ・キャピタルの創業者兼マネージング・ディレクターであるダグラス。ブラウンスタイン氏だ。同氏は、ドイツ銀行の株式を大量の保有する投資家でもある。そのブラウンスタイン氏は「伝統的な強みに注力し、予想可能で魅力的な業務を通じ持続体なリターンを達成する基盤を作った」と語る。仮にドイツ銀行が復活を遂げれば、他の欧州系銀行と合わせ、有形資産価値の30%から75%まで改善するだろう。

——今回のコラムは、いつものランダル・フォーサイス氏ではなくアンドリュー・バリー氏でしたで元で米銀株、ドイツ銀行株、一部の社債が注目の投資先と指摘していましたが、銀行株はJPモルガンが金利収入見通しを5億ドル引き下げ575億ドルへ修正したように、利下げ環境では純金利マージンが問題となってきます。消費者部門の融資に依存している点も、気掛かり。景気減速局面では、信用の低い消費者への融資が増えてしまっては、金融危機の再来となりかねません。それがたとえ杞憂だったとしても、低金利による高利回り債の発行増が景気減速局面で銀行のポートフォリオにどのような影響を与えるかも、未知数です。リスクを考えてばかりではリターンは取れませんが、果たして銀行株はバロンズ誌の同コラムに応えることができるのでしょうか?


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年7月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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