京アニ事件:経済と殺人事件の関係性?

先日行われた参議院議員選挙期間中の18日に痛ましい事件が起きました。
7月29日の段階で死者35名、重軽傷者33名にのぼっている京都アニメーション放火殺人事件。
現在も10名の方が入院中ということで、平成以降の放火事件としては最悪、そして無差別大量殺人事件といえます。

メディアなどでは、「犯行の動機解明」という言葉がよく出てきますが、率直に言って「狂人の動機解明ができるのか?」と私は思ってしまいます。
事件発生当初は容疑者が「小説を盗まれたから放火した」との発言を報道していましたが、実際にはそうした事実はなかった模様です。

では動機は何なのか。
容疑者自身が全身にやけどを負っており、現在も入院中で意識朦朧状態で警察が話を聞けるめどは立っておらず、動機はまだわかっていません。

連日のテレビ報道などでは専門家が容疑者の行動・心理分析を、前日の行動や当日の防犯カメラに映っている容疑者の歩き方などから、様々な見解を語っており、私は様々な見方があるんだと思いながら聞いています。

また、サイコパス・ソシオパスという言葉も聞かれますが、いずれにしても本人、個人に帰結する原因があるとするならば、動機が解明されたとしても改善されない、我々には理解ができないことになるかもしれません。
※サイコパス(精神病質者)・ソシオパス(社会病質者)とは、反社会的人格障害の種類を表す心理学的用語で、必ずしも暴力的な訳ではないが、罪悪感の欠如などが見られることから、結果として社会に危険をもたらす場合がある

一方で単に個人に帰結するのとは違う問題提起もありました。
7月28日(日曜日)の産経新聞に掲載されていた日経経済講座「相次ぐ無差別大量殺人事件に思う 元凶は慢性デフレにあり。」という記事です。

「大量というのは一体何人から?」というのはともかく、1999年以降に起こった大量殺人事件は7件と記事中に書いてありました。おそらく平成20年(2008年)に7人が死亡、10人が負傷した秋葉原通り魔殺人事件などが含まれていると思われます。正直この記事の中では、見出し以上の考察はなく、論拠もはっきりしていませんが、私も薄々感じています。

記事の9割と言える分量は、いわゆるデフレ経済についての筆者の解説で、筆者の言わんとしていることは、デフレ経済で給料も安く生活が成り立たない状況が無差別大量殺人事件に繋がっているのではないかということだと思います。これ「経済が悪いから、ひいては政治が悪い」だからとって帰結しませんし、仮にそうだとしても殺人が正当化されるはずもありません。

国民生活は社会の基礎としての経済の上に成り立っていることは間違いありませんので、こうした事件の温床にはなり得ると私も思います。その意味では自分の生活のために給料や経済を気にするのではなく、社会の安全などが自分のためという観点で、経済というのはやはり大事なんだと思います。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年7月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。