表現の不自由展中止:ヘタレ芸術監督とヘタレ知事の呆れた言い訳

2019年08月05日 06:02

津田大介氏が世に問おうとしたこと

私は内心、津田大介氏や企画展「表現の不自由展・その後」の取り組みを応援していた。たとえ、一般の日本国民とは考え方が異なる国賊のような人間でも、批判を覚悟で自分のスタンスを世に問おうとするならば、徹底してやればいいと思っていた。しかし、3日、津田氏は展示会を中止すると表明した。

NHKニュースより:編集部

「表現」というものは時に、受容者の激しい怒りや反発を招く。マルセル・デュシャンが1917年、『泉』(Fontaine)と題された男性用小便器のオブジェを発表しようとした(ニューヨークの「アンデパンダン」展に出品しようとしたが、出品を許可されなかった)。汚物をキャンバスに投げ付けるアートも登場した。芸術が権威や権力を愚弄し、それに反逆すること自体、多かれ少なかれ、芸術が本来持つ内在的宿命である。

「表現の自由をはきちがえるな」という批判も多くあるが、そのような批判を誘発させることを、表現者は狙っている。
公序良俗に反する「表現」はその公表において規制の対象になる。

公序良俗に反するかどうかを決めるのは国家権力であるので、芸術はどこまでも国家権力の従属下にあるということを、この企画展の出品者や津田氏は示したかったのだろう。また、「慰安婦像」や「天皇」というモチーフを用いて、善良な日本国民がどこまで忍耐できるかを試そうとしたのだろう。

大いに結構だ!トコトン、やればよい。

津田氏の応援者はなぜ声を上げない

しかし、3日、津田氏は「希望になると考えたが劇薬だった」と言って、展覧会中止を宣言した。その理由として、「安全管理上の問題が大きくなったのがほぼ唯一の理由」と答えている。政治家の発言は関係ないとも答えている。

反権力・反国家が目的の彼らならば、圧力(彼らからすると、検閲らしい)が強まれば強まる程、それらと戦う「自由の戦士」を演出することもできたであろう。

津田氏が、中止の理由を「安全管理上の問題」と強調したのは、「自分たちは圧力に屈していない」と言いたかったからであろうが、彼らは圧力に屈したのだ。政治・権力・世論の全ての圧力に屈した。所詮、ヘタレの集まりだったということである。

安全管理上ならば、警備を増員して、荷物検査を徹底して、己らが体を張って、展示会場を守ればよいだけのことである。物理的な対応はいくらでもできる。「安全管理上の問題」などが理由にならないことは子どもでもわかるバカげた言い訳だ。

私が不思議なのは、この展示会に共感していた人たちが、「津田は圧力に屈した裏切り者である」との批判の声をほとんど上げていないことだ。津田氏や出品者たちの取り組みを色々な理屈で応援していた人々がいたが、彼らはいったい何をしているのか。裏切り者の津田氏に、今こそ、烈火の如き怒りと批判の矛先を向けるべきではないのか。

私は右派であろうと左派であろうと戦う人たちには敬意を表するが、子ども騙しの言い訳をして、ヘタレをする人を軽蔑する。

最大の責任者は大村知事

大村知事ツイッターより

今回の一連の騒動で責任を問われるべきなのは津田氏ではなく、愛知県の大村秀章知事である。大村知事はこの展覧会の実行委員会会長に自ら就任した。このような騒動になることは容易に想像されていたにもかかわらず、公立の美術館で展示を容認した行政の責任者だ。

また、中止の理由説明も拙劣である。大村知事は「運営する事務局スタッフのマンパワーも完全にオーバーフローしたという現実もあります」 として、対応する職員が疲弊していることを理由に挙げた。自身の責任についての謝罪や反省は一切ない。

「行政が展覧会の中身にコミットしてしまうのは控えなければならない」とも説明しているが、それならば、安全管理を徹底して、最後まで展覧会をやり遂げられるように万全の対策をし、展示を見たいと思っている多くの人々の希望に応えるのが、行政の長としての筋である。

この展覧会がどんな下劣なものであったにせよ、自分がひと度、「表現の自由」と認め、展示を許可したものに対し、最後まで守り抜くべきだ。そうでなければ、テロや脅しに屈したことになる。

大村知事という行政の長の裏切りは津田氏のそれとは比べるべくもない。加えて、このような下劣な展示に何の疑義も呈しなかった大村知事の政治感覚については、有権者もよく理解をするべきだ。

宇山 卓栄   著作家
1975年、大阪生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。大手予備校にて世界史の講師をつとめ、現在は著作家として活動。『「三国志」からリーダーの生き方を学ぶ』(三笠書房)、『世界一おもしろい世界史の授業』(KADOKAWA)、『世界史は99%、経済でつくられる』(扶桑社)、『民族で読み解く世界史』(日本実業出版社)などの著書がある。

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