なぜわが子の担任が見つからないの?東京都の講師採用から考える

2019年08月08日 06:00

朝日新聞に「公立小中、先生が足りない 全国で1241件「未配置」」という記事が載りました。ここ数年、実際に教員の数は足りていません。精神疾患で休む先生や産休育休の先生の変わりが見つからないケースや、そもそも年度当初から定員が足りていないケースもあります。

記事によると、「ばらつきの理由の一つは、非常勤講師の使い方に差がある」としていますが、この非常勤講師の使い方に大きな問題があります。ちなみに講師は、正規の教諭をやっていないけれど免許は持っている人が、一時的に教諭の補助をするお仕事です。

先日も、「義務教育崩壊へ。教員が忙しい?嫌ならやめろ!代わりはいくらでもいる・・かと思ったら、誰もいなくなってた件。」という記事がネットで話題になりましたが、それだけ正規教諭をカバーする講師の層が薄くなっているということです。

東京都で実際にあった事例を紹介します。Aさんは当時はたまたま仕事をしておらず、小学校の教員免許は持っていたので東京都に講師の登録をしました。ある日、学校からこんな電話がかかってきます。「算数の少人数指導の講師が足りないので来ていただけますか?時給2500円で週20時間です」

Aさんは「半日勤務で日給10000円になるから、悪い仕事ではないな」と思うわけです。もちろん、この20時間は授業時数のことで、準備の時間は含まれませんので、そこまで割のよい仕事とも言えません。

そこで学校側はこう言います。「採用まで日にちが限られているので、すぐに健康診断を受けてきてください」Aさんは健診は自腹だということで少し躊躇しますが、これからお給料も入ってくるし、初期投資だと思い、健診を受けに行きます。健診はべつに異常がないので10割負担、7000円くらいかかります。

そして、学校に診断書をもって初めて訪問します。そこで校長からこんなことを言われるのです。「算数の講師も足りてなかったんだけど、先日から担任の先生が体調を崩して療休に入っちゃってね、担任できる?」たしかに、算数だけ教えるよりは大変かもしれませんが、一日4時間の授業だけならなんとかなるだろうとしぶしぶ承諾します。健康診断も受けてしまったし。

さらに校長はたたみかけます。「子供たちとの信頼関係が築きやすくなるから、朝の登校時から給食掃除指導、帰りの会まで頼むよ」ここまで来たら、8時間近くの勤務になり、ほぼ正規の担任の仕事です。講師は、この場合でも一日10000円しか支払われません。社保はなく、授業のない祝日や長期休暇はとうぜん給料は発生しませんし、ボーナスもありません。

断るにしても、7000円の健康診断費用は払ってしまいました。年収1000万円を超える校長先生からしてみたらはした金かもしれませんが、これから講師をしようという人の7000円は大金です。でも、そんなことはお構いなしのようです。

ちなみに講師の仕事の多くは上限が20時間台になっています。これは勤務時間が長くなると社会保険料を支払うことになってしまうからです。社会保険料を払いたくないから20時間になっているのに、それをはるかに超えたサービス残業で担任をしろというのです。正規の先生の時給は3000円とか4000円のフルタイムで身分も保証されてるのに・・・と疑問も持ちます。

このように、非常勤講師は都合のいい小間使いくらいにしか思っていない校長や管理職が、講師たちを失望させ「二度と教壇に立ちたくない」と教育現場から遠ざけているのです。

中沢 良平

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