実態を知らない維新の会:個人事業主から見た介護の自己負担 --- 山中 康弘

2019年08月08日 06:00

日本維新の会の障害のある議員の介護負担の発言について、障害当事者から差別発言だと話題になっている.

2019年7月30日に配信された共同通信によると、

日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は30日、参院選でれいわ新選組から初当選した木村英子氏(54)ら、重い障害のある議員2人の介助費用について「どなたにも適用できるよう制度全体を変えるならいいが、国会議員だからといって特別扱いするのは違う」と述べ、自己負担で賄うべきだとの考えを示した。市役所で語った。

松井氏は「国会議員は高額所得でスタッフも付く。政治家は個人事業主だから、事業主の責任で(費用支出に)対応すべきだ」と主張した。

という記事がある。

これによって、「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会から、「日本維新の会代表の差別発言に抗議します」ということで抗議文を掲載している。これに対して、私の意見を述べたい。

日本維新の会、松井代表(編集部撮影)

私から見ると、「重度障害者は働くな」ということを言っているようなものである。

一般の企業で働けない人もいるし、福祉施設で働いても、月1万円ぐらいだ。それなら、自分で仕事をしたいといって、個人事業主になったら、それなら、介護負担を払えと言われる。

個人事業主をしている障害者が介護負担をするという前例を作ったら、それこそ、重度障害者が働けなくなるわけだ

これは、憲法、13条にある幸福追求権に違反する可能性がある。第13条は、

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

と定めている。

人間は何のために、働くといえば、やはり、自分の力で働いて、給与を受け取ったときの幸福のためではないだろうか。みなさんは、初めて給料をもらった時の喜びや幸福があったのではないのか。重度障害者が、そんな働くことによって得られる幸福を追求していくことが当然のことだと思う。

次に、個人事業主が100万円ぐらいの介護費を負担する場合、それだけの付加がかかるだろうか。

100万円以上の介護費がかかるのか、賛否が分かれるわけだが、週168時間あるので、介護員が4人以上が必要であり、そこから事務手続きなどの費用かかるので妥当だと思う。話が複雑になるため、ここでは、介護費を100万円とする。

介護費用として、100万円ということは、売上ではなく、利益である。つまり、利益率が10%の場合、月1000万円の売上が必要になり、利益率が5%の場合、月2000万円の売上が必要になる。百歩譲っても、利益率が100%の場合でも、毎月の売上が、100万円以上、必要になる。

これは、スポーツ選手や一流芸能人ぐらいの年収を重度障害者に求めていることになる。

もし、月100万円の介護負担をしなさいというのであれば、あなたは、家で寝たままで月2000万円の売上ができるビジネスを成功してから言ってほしい。

そこまで考えての発言であるのかを問いたい。軽々しく、あのような発言をしているから、障害当事者から差別発言だと言われてしまうのではないかと思う。

私も、会社を経営しているので、どれだけの売上が必要になるのか、いつも考えているわけだが、この売上の数字を考えた時に、重度障害者に対するいじめであるしか思えない。

日本維新の会の発言は、障害者に対する尊厳を傷つけるだけではく、憲法違反の疑いもあるし、実態経済を知らないことを表していることを指摘しておきたい。

山中 康弘 バリアフリーオフィス代表

出産時に脳性麻痺と診断され、母と訓練等、様々な努力を続ける。6歳の時に自力で歩けるようになる。大学、大学院に進学し、 国立障害者リハビリセンター研究所を経て、バリアフリーオフィスを設立する。


編集部より:本稿の見解は執筆者個人のものであり、アゴラ編集部の見解ではありません。

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