ゼネコン談合:子会社不正防止だけでは独禁法違反はなくならない

2019年08月08日 11:30

読売朝刊トップ記事では「公取、ゼネコン4社長『指導』談合カルテル-子会社不正巡り」と報じています。同記事によると、公正取引委員会の委員長が、大手ゼネコン4社の社長に対して、グループとして談合の再発防止策を講じるよう異例の申し入れを行ったそうです。

読売新聞8月7日付朝刊より(編集部撮影)

また、朝日新聞では、このような異例の申し入れは①海外では、子会社が独禁法違反行為をすれば親会社も責任を問われるケースがあること、②6月に成立した改正独禁法では、完全子会社が過去に違反で処分を受けている場合には、親会社の新たな違反行為について課徴金が割り増しになることから行われたのでは、と指摘されています。

グループで談合を防止することは大切だと思いますが、それで談合がなくなるかといえば、それはないと思います。取引先や下請企業を使って、ますます巧妙に談合を行うケースが増えるだけかと(取引先や下請企業も、談合に関与することで継続的に仕事を請け負うことができるはずですから、徹底防止するインセンティブが機能しないと思います)。

たとえば東証「企業不祥事予防のプリンシプル」では、原則6において「サプライチェーンのコンプライアンスの徹底」が求められていますが、まさに中心になる企業がサプライチェーンを含めて自主的な規制を行わないと談合はなくならない。

コンプライアンス経営の徹底が求められると、サプライチェーンの川上の企業が川下の企業に「汚い仕事」を押し付けるケースが増えてきます。前にも述べましたが、味の素の社長さんが「働き方改革」を自社で実行するために、抜本的な生産性向上への取組の開始とともに取引先やグループ企業に自ら出向いて協力を要請したことが日経の連載記事で紹介されていました。

談合についても、ゼネコンの社長さん自ら関係会社に出向いて「なにかあれば司法取引を活用せよ」と提言する等、サプライチェーンで根絶を要請しなければゼネコン談合防止の本気度は伝わらないのではないでしょうか。

山口 利昭 山口利昭法律事務所代表弁護士
大阪大学法学部卒業。大阪弁護士会所属(1990年登録  42期)。IPO支援、内部統制システム構築支援、企業会計関連、コンプライアンス体制整備、不正検査業務、独立第三者委員会委員、社外取締役、社外監査役、内部通報制度における外部窓口業務など数々の企業法務を手がける。ニッセンホールディングス、大東建託株式会社、大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社の社外監査役を歴任。大阪メトロ(大阪市高速電気軌道株式会社)社外監査役(2018年4月~)。事務所HP


編集部より:この記事は、弁護士、山口利昭氏のブログ 2019年8月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、山口氏のブログ「ビジネス法務の部屋」をご覧ください。

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