ビジネスに限れば、日韓を横目に日台関係強化はありえる

岡本 裕明

先日、バンクーバーである招きに応じて台北市の「青少年民族運動訪問団」による一種の雑技公演に参りました。日本人は3人だけでしたが、VIPとして丁重にして頂きました。その際、司会の方がぜひ台湾に遊びに来てくださいと観客に訴えていたのはそのあと報道された中国による台湾への個人旅行の中止指令をまるで予見していたのでしょうか?

オイオイ/イラストAC(編集部)

最近、改めて国際関係というものを様々な方と接触しながら考えるようになりました。上述の公演の際に隣に座った方もバンクーバーの台湾商工会議所のトップを務められた方でそのあと、記念撮影をしながらバンクーバーにおける日台の関係が強まればといいですね、と固い握手をして別れました。

日本はアジアの中のOne of Themであると考えるとそれぞれの国が持つ特徴を捉えながら1+1=3という関係を作り上げなくてはいけません。いつまでも日本はアジアでNO1の国だという考え方は10年以上も前から変わりつつあるのですが、日本人のマインドにはまだそのおごりが消えていないかもしれません。

ビジネス的に考えれば今まではどこでモノやサービスがたくさん売れるか、というスタンスでした。これからは日本は誰とアライアンスを組めばより強くなれるか、というスタンスに立つべきでしょう。つまり信頼おける国際パートナーづくりであります。もちろん日本にはアメリカという巨人との関係をしっかり築いていますが、逆にそれが邪魔するときもあります。

日本人はアジアの人種であり、アメリカの白人とは根本的に違います。文化も宗教観も立ち位置もすべて違う中でアメリカが英国やイスラエルと結んでいるアライアンスとは違う背景があることを考えれば日本がこれから考えるのはアジアの中での絶対的地位の確立であります。

そんな中、日韓関係は地理的には最も近い隣国の一つであるのに最も遠い関係になりつつあります。では今後、アメリカの仲介のもと、Standstill(この場合、双方の応酬合戦の一時停止でしょうか?)があったとしても根本的には元のさやに戻るには相当のしこりを残してしまいました。

一方、日本だけを見るとビジネス的には冴えない状態が続きます。明らかに伸び悩んでいます。そんなこともあり、日本と組みやすい相手は誰なのだろう、と考えた時、台湾は日本人との相性の良さを含め、良きパートナーになると感じています。

もちろん、政府レベルでは日本が中国を外交の相手として認知しているため、台湾とは形式上、疎遠ということになっていますが、ビジネスではいくらでも交流できます。

日本と台湾の貿易はランクで行けば現在は4位の相手ですが、過去2-4位を行き来しており、日韓問題が更に深刻になれば台湾との貿易が3位に浮上する可能性も出てきています。(1位は中国、2位がアメリカ、3位が韓国です。)

そんな中で例えばサムスンの4-6月決算の不振が報じられる中で「半導体については台湾積体電路製造(TSMC)に出遅れている」(日経)と報じられています。つまり日本から見ると韓国と台湾が似たようなポジションにあり、双方が競い合っているという関係になります。ならば、極端な話、世界を制するような台湾企業と日本企業が連携するなどして関係強化を図るのは韓国に対してより重しになるでしょう。

私は日韓関係については静観すべき、と思っています。理由は何度も言っていますが、あの半島は歴史からしても民族からしてもさっぱり分からないのであります。ご都合主義、事大主義、家父長制度に日和見主義…と何でもありで付き合っても日本が振り回されるだけなのです。おまけに金正恩委員長の北朝鮮は明らかに過去のスタイルから決別する勢いを感じます。政治的な発言力の強化は半島の過去のバランスを崩しつつあり、周辺大国を含め、外交が読みにくくなっています。

一方、ビジネスの関係は政府間関係と違い、安定的な基盤の下、成長をする事が重要です。となれば台湾は政府レベルではともかく、民間ベースでは日本にとってはやりやすい相手ではないでしょうか?

先日もある台湾の長老とご挨拶した際、先方は全部日本語でした。「私はシャープで長く働いていました」という挨拶から始まった話は日本での経験がいかに素晴らしかったか、という昔懐かしむ話でした。

私もいろいろな国の方と接点を持っていますが、メンタリティや親しみという点で台湾に改めてスポットを当ててみたいと思っています。そういえば、東京で新たに開発される商業施設には台湾系の店が続々と押し寄せているそうです。どうやら文化的交流にも花が咲きそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年8月8日の記事より転載させていただきました。