消費者の向かうところ:企業が提供するアセットを利用する構図

2019年08月11日 14:00

どの国でも消費の行方は国の経済指標としては最も重要な尺度といえるでしょう。日本もアメリカも消費動向がGDPに影響する割合は6-7割であり、他国も同様に高い割合であります。政府はいかに消費を盛り上げるか躍起になり、企業はいかにモノやサービスを売るか工夫を凝らします。

studiographic/写真AC(編集部引用)

7-80年代まではモノがその消費の主役でしたが徐々にサービス消費に転じていきます。併せて若い世代では非正規雇用やアルバイト生活をする人も増え、可処分所得が伸び悩むという問題も生じました。

政府としてはその状況の中で消費を増やし、GDPを成長させ国民が豊かになる政策は使命であり、それが達し得なければ次の選挙で苦戦するのは目に見えています。日本政府が携帯電話はもっと安くできる、とシャカリキに下げようとしたのは、可処分所得のリバランスを考えたのでしょうか?

男女ともに消費額を減らしているのが被服費ですが、想像するにユニクロ化が進んでいるのかもしれません。安いし丈夫、品質も良いとなれば、事足ります。また、統計では酒も飲まなし、外食も着実に減っています。

となると何に使うか、ですが、コト消費が増えているみてよいでしょう。旅行、コンサート、スポーツ観戦、また、これに関連してファッションや身だしなみなど外見をよくする消費は増加傾向にあります。

世の中、俯瞰すると一般消費者は徐々にモノを持たない傾向になり、企業が資産を賃貸ししたり、サービスを提供するものを借り受ける流れに変わってきているといえます。

例えば暑いのにディズニーやUSJには長蛇の列です。夏フェスと名の付く屋外コンサートには通算で何十万人という人が集まります。なぜでしょうか?あるいは、バンクーバーのいくつかのカフェはものすごい人気です。なぜか、といえば空間を売っていると考えています。ドリンクだけではなく、ケーキやサンドウィッチといった軽食類を比較的大きな店舗スペースで長時間営業で対応します。

こちらのスタバは午後になると客足が落ちますが、この手のカフェは午後になるとどんどん客が増えて夜は入れないほどになります。そこにはリアルSNSを求めている似たような年層の人たちが見て取れます。自分のカフェ、そして仲間のいるカフェです。こうなるとスタバは中高年層向けの店となり、時代に乗り遅れ陳腐化したようにすら見えるのです。

若者の持ち家志向は確実に低下しています。今の50代と比べると30代では20%ポイントほど下がっています。住宅ローンという重荷を背負うという精神的負担が面倒くさいからでしょう。

皆さんが使うパソコンのデータはパソコンの中ではなく、クラウドが主流になってきました。自分のパソコンにデータを置いておく時代ではありません。

これは何を意味するか、といえばアセットを提供する会社とそれを利用する消費者という構図がより鮮明になってきたということです。アミューズメントパークという会社は遊戯施設を貸すことがビジネスです。カフェは語らいの場所を提供すること、コンピューターのクラウドはデータセンターを提供すること、シェアハウスやシェアオフィスは住むところや仕事をするところを提供すること…といった具合です。

企業はモノやサービスの根幹となるハードアセットを所有し、それを貸し出すことが今後、ビジネスの主流になってきたようです。その一方、アセットを所有することはリスクにもつながります。中国のシェア自転車はその典型でしょう。その流行が終わった時、アセットの価値は急減します。

一方、インフラ的なアセットは陳腐化しにくいとみています。コンビニも駅前の商業施設も情報を提供する通信衛星や輸送を担うトラック、飛行場や航空機は表層的な流行に左右されにくい特徴があります。

それらの組み合わせの中で個人的には一般消費者のお金の使い方はどんどん形を変えていくだろうと思いますが、それらを取り込むビジネス側に立つと想像力と革新的なアイディアが勝ち組とそうではないところを決めていきそうです。

私自身、最近は自分のビジネスを進めるうえで80年代までの常識を捨てることに注力しています。そのために若い人の話を積極的に聞かせてもらい、若者の感性を取り込めるように努力しています。それぐらい世の中は変わってきている、だからその先を読み込まねばならないとも言えそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年8月11日の記事より転載させていただきました。

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