バロンズ:グリーンランドとトランプ氏の利下げ要請

2019年08月19日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーは石油・ガス関連株を取り上げる。米中貿易摩擦や地政学的リスクを警戒し、ウォール街は石油・ガス関連株に対し関心を失ってしまった。米2−10年債利回りの逆転など、景気後退のサインが点灯しており、需給面での不安もある。SPDR S&P石油・ガス探鉱生産ETF(XOP)は8月初旬に過去最安値をつけ、年初来で既に20%下落した。

しかし、ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS.B)の配当利回りは6%を超え、エクソン・モービル(XOM)も株価が67.25ドル付近で配当利回りは5.2%、シェブロン(CVX)も株価117ドルで、配当利回りは4.1%となる。ウォール街が見捨てた石油・ガス銘柄に投資妙味があるのか、詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトは定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週はトランプ政権がなぜグリーンランドに注目したかに迫る。抄訳は、以下の通り。

利下げとグリーンランドの取得こそ、素晴らしい計画−A Really Cool Plan: Cut Interest Rates and Buy Greenland.

トランプ大統領がなぜ米連邦公開市場委員会(FOMC)に対し執拗に利下げを迫ったのか、これで判明した。トランプ氏は不動産王としてのキャリアを活かすべく、デンマーク領のグリーンランドを取得しようとしている。資金調達コストを抑えるべく、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いるFOMCが利下げを決定すれば、願ったり叶ったりだ。

北極海に浮かぶグリーンランドと言えば、1年に約8割以上は氷床と万年雪に覆われているが、トランプ氏がカジノを保有していたニュージャージー州のアトランティック・シティも2月は厳しい冬が待っており、決して無意味ではない。グリーンランドの玄関口、カンガルッスァック空港にカジノやトランプ・タワーを建造すれば、モスクワに建てる必要性が低下するだろう。

何より、デンマーク領という利点がある。世界では16兆ドルもの債券がマイナス金利にあるが、デンマーク3位のユスケバンクもマイナス金利を提供している。ただし、デンマークはグリーンランドを売却する予定はない方針を表明済みだが。

トランプ氏はいずれにしても、2020年の米大統領選を控え金利が米経済にどのような影響を及ぼすか懸念しているのだろう。また、同氏が支持率を注視するなかで、米株の動向にも目を光らせているに違いない。8月14日、ダウが800ドル急落した日には、JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)を始め、バンク・オブ・アメリカのモイニハンCEO、シティグループのコルバットCEOに電話を掛けた。彼らは米国の消費者動向は良好と語りつつ、米中貿易摩擦が企業信頼感を損なったと説明したという。

世界経済への懸念の高まりは世界の債券利回りに象徴され、米30年債利回りは2%を割り込み、過去最低を更新した。米10年債利回りは1.5%を割り込み、2016年7月以来の水準である1.36%を視野にいれ、グリースパン元FRB議長は米国もマイナスヘ沈むリスクに警鐘を鳴らした。大西洋を越えた独では、同10年債利回りがマイナス0.7%まで沈んだ。

2-10

(作成:My Big Apple NY)

米2-10年債利回り、チャートでは示されませんが一時は2005年の逆イールドが発生も。

グリーンスパンFRB議長の意見に対し、30年近くに及び金利低下を予想してきたゲイリー・シリング氏は、異議を唱える。160億ドルもの資金が債券ファンドに流入したように、足元の金利低下は価格上昇に伴う需要の高まりを示す古典的なサインだという。現状、利回りは低下し米30年債利回りが心理的節目を2%を割り込むなかで、シリング氏は投資家が長期債のポジションを維持する見込みながら、これ以上積み増すと想定していない。従って、インカムゲインを期待するより価格上昇を狙うべきと助言する。シリング氏が最初に長期債を推奨した1980年代、利回りは14%から13%へ低下し、価格は5%上昇した。利回りが3%から2%へh邸かすれば、20%以上の価格上昇が期待できる。

一方で、シリング氏は短期債に注意を促し、米財務省短期証券(Tビル)を取得しロールオーバーすることは損失につながると指摘する。逆に公益、不動産投資信託、生活必需品などの配当銘柄に対しては「風上での碇となる」といい、弱気相場でも下落幅が他と比較し限定的にとどまると見込む。

いずれにしても、金利の急低下は投資家と消費者に経済見通しへの不安を抱かせるものだ。通常ならば株高を住宅市場の活性化を促すが、現状ではそのような効果を確認できていない。

市場は将来の見通しを探ろうとしており、市場参加者の視線は8月23日に行なわれるジャクソン・ホール会合でのパウエルFRB議長の講演に注がれるだろう。

——2018年8月のジャクソン・ホール会合では、力強い米経済と労働市場に言及し、インフレが2%以下で推移するなかで、段階的な利上げの道筋が引き続き適切となる可能性を点灯していました。当時、米株市場を中心にゴルディロックスの継続と捉え、米株高をサポートし、2018年10月にかけて最高値を更新するに至りました。

あれから1年、Fedは利下げに舵を切り、米中貿易摩擦と世界経済減速の影が差しています。そのような状況下、パウエルFRB議長は何を伝えるのか。FOMC後の7月31日以降、S&P500は約3%下落し、米10年債利回りは2.07%から一時1.475%まで低下したものです。こうした変化が、「サイクル半ばでの政策調整」との文言の修正を迫るのか、決戦の金曜日が待たれます。

(カバー写真:Sebastian We/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年8月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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