世界大動乱と地球崩壊の時代が進む

2019年08月23日 06:00

外交も政治も経済も

一つ一つのニュースを追ったり、論評していたりしても、世界で何が起き、世界がどうなるのか分からない時代になってきました。メディアや論壇はもっと大きく、目を見開いて、今、起きている国際社会の分裂、激変、激動を掘り下げて考える必要があります。

はむぱん/写真AC(編集部)

テレビ、新聞などは災害・豪雨、熱帯夜、あおり運転、大量殺人などばかり放映し、歴史の大変動期を感じさせる報道をあまり見かけません。表面的な動きばかりではなく、変化の底流をつかんでほしい。

連日、ギョッとしたり、ドキッとするニュースがたくさん、流れてきます。ごく最近の例からいうと、今週末からフランスで開かれるG7サミット(主要7か国)で、1975年の発足以来、初めて首脳宣言が採択されない見通しになりました。「たかが首脳宣言の採択見送り」と、軽視できません。世界秩序の意思決定のメカニズムが次々と、へし折られています。

米欧日の参加国は貿易問題などで利害が対立し、歩み寄りができない。特にトランプ米大統領がG7体制を軽視し、見解の対立など意に返さない。G7は西側先進国の結束の場として象徴的な存在でした。トランプ氏は「米国第一主義だ。そんなものいらない」という思いでしょう。と思っていましたら「ロシア(一時、参加国)を加えろ」と、吠える始末です。欧州が反対するに決まっています。

トランプ氏の唯我独尊主義は、「デンマーク領グリーンランド(資源が豊富)を買いたい」の発言に表れています。当然、「グリーンランドは売り物ではない」と、相手国の首相に断わられると、「そんなら首脳会談は取りやめだ」。カネで領土を買える時代ではもうなく、冗談にしてもバカげています。

選挙受けするならそれでよい

世界で最も訳の分からない首脳の代表がトランプ氏です。トランプ氏の行動、言動は予測不能、理解不能なのに、米国内の共和党支持者の間では支持者が多い。そんな人物が世界最強、最大の国のトップで、国際社会を振り回す時代です。乱暴でも強引でも、選挙で受けるなら、それで勝ち。平穏なら自分で嵐を起こし、かき回す。そういう時代になったことが恐ろしい。

激変したといえば、先行きがどうなるか分からないまま、膨張する財政赤字に危機感が持たれない。世界中に過剰マネーが溢れているのに、景気や株価に懸念が生じると、さらなる緩和に突っ込む。無謀な金融政策の正常化など後回しでよい。「市場が破綻したら、その時に考える」の無責任な時代です。

目先のことしか考えない政治権力と、中長期の視点から経済・金融をコントロールする中央銀行は、本来、権限分立の関係におくべきだとするのが歴史の知恵です。トランプ氏はそれが気に食わない。日本では何年も前に、政府と日銀の一体化を意味する共同声明を発表しました。中央銀行受難の時代で、21世紀は中央銀行が政府の一部局として事実上、吸収されていく大転換期です。

異次元の金融緩和の結果、マイナス金利が広がり、預金すると金利をもらえるどころか、金利(手数料)を取られる国が増えています。欧州では、個人預金にもマイナス金利を課す動きが広がる。人類史上初のことでしょう。日本でそうしたら、預金をおろして、現金で保有する個人が増える。得たいの知れない大変動が地下のマグマとしてうごめいている。

政府、中央銀行が管理する法定通貨の価値が揺らぎ始めています。かつて金本位制が存在し、金が通貨の役割を果たした時代がありました。法定通貨の信頼低下、株価の低迷の中で、金価格が高騰(1㌉1500㌦)しています。金本位制の復活はあり得ないにしても、通貨の役割を果たすものが分散化していくでしょう。すでにその動きは表面化しています。

民主主義と市場経済への懐疑

21世紀は、西側社会の基軸であった民主主義への風当たりが強まる一方でしょう。民主主義と市場経済は一体となって、政治・経済社会を動かす両輪でした。社会のネット化で、大衆迎合(ポピュリズム)的な政治・選挙が加速しています。経済のグローバル化で国家間の格差、国内の高所得層と低所得層の格差が拡大しています。民主主義を無条件で是とする時代は終わりました。

アイスランドは「火(火山)と氷(氷河)の国」で、陸地の1割が氷河です。国内各所にある氷河が地球温暖化の影響で、どんどん溶けだしています。温暖化で消滅したアイスランド初の氷河を記念するモニュメントの公開式典が先日、行われたとニュースで伝えていました。「今後200年間、われわれの氷河は同じ運命をたどる」と、しるされています。

熱中症で多数の死者を出した日本の猛暑も、地球温暖化の影響です。異常気象を抑える地球温暖化対策はどうなっているのか。中国(1位)と並び米国(2位)は、最大のCO2排出国です。温暖化を防ぐ国際枠組・パリ協定から米大統領は17年に離脱を決めました。21世紀は温暖化がますます進み、人類の生存を脅かす。トランプ大統領はとにかく国際協力の枠組みが嫌いで、地球崩壊の推進者の一人に入ります。

米中貿易戦争、関税摩擦、通貨安戦争といい、経済は正気でなくなりました。世界が様々な次元で大動乱期に入り、それがまた正気を失わせています。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2019年8月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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