5年持てばいいビジネスの賞味期限

賞味期限が短いものの代表はアイドル歌手だったのですが、最近もっと短いと思うのが飲食店でしょうか?雑誌に「人気店」と紹介されても息長く続けれられるところはごくわずか。むしろ、そこで人気が落ちてしまった方が幸せだったと思うのは中途半端に成功して多店舗展開したケース。

sorara/写真AC(編集部)

店を5店、10店と増やしている間にブームが去ったり、消費者の目移りであっという間に逆風が吹くケースです。こうなると借入金を含めた投資額が大きくなり、失敗したりブームが去った後の撤退コストはとてつもなく大きくなります。私は舌が肥えているわけでもないし、美食家でもないのでとやかく言う立場にありませんが、日本にはうまいものがいくらでもあり、日本人の評価が厳しことはあるのでしょう。

価格で勝負するか、品質で勝負するか、店の戦略も分かれてきていて中間層が少なくなってきています。そんな中、個人経営の地味な店で案外、おっと思う店もあります。いわゆる価格は激安ではないけれど懐にやさしく、満足感を得られる店です。例えば私は池袋にお気に入りの個人経営のハンバーグ店があるのですが、経営そのものは個人店だろうな、と思わせるアットホームなところになごみの雰囲気を醸し出しています。こういう店はチェーン店にありがちが期待感がないので多少のエラーなどは見過ごせる点が気楽なのかもしれません。

アメリカでも日本でもそうですが、最近の飲食店は内装に力を入れ、雰囲気を重視する戦略が強まっています。それはそれでいいのですが、日本の場合、内装倒れで品質とサービスがついてきていないところも多く、残念な思いをすることもあります。そうなると経営者の意に反し、客はドンドン逃げていくことになります。5年持てばいい、というのはどちらかと言うと経営者が赤字にどれだけ耐え忍べるか、と言う意に近くなります。

飲食店の話をしましたが、普通のビジネス全般にも言えることは「世の中の激変で絶対不変だった業界に異変が起きる」ことでしょうか。私は今、教科書の輸出販売の事業を進めていますが、このジャンルだってどうせあと3-5年だと思っています。学生が重くて高い教科書をなぜ、持ち運ばねばならないのか、今の時代、全く意味を成しません。もちろん、教科書を書く先生方がE-bookに対して強い抵抗を持っているのでもう少し寿命は長くなるかもしれませんが、そんなことは「おまけ」ぐらいにしか思っていません。

多くの方が私に聞きます。「なぜ、そんなに次から次へとビジネスをやるのですか?」と。答えは簡単です。「Game Overになる時が必ず来るから次のネタを仕入れているだけです」と。ビジネスをゲームと称するのは大変失礼ではありますが、私もインベーダーゲームがブームになった頃に青春時代を過ごしたわけであの悲しげな音と共に「Game Over」と見るたびに悔しい思いをしたのです。

しかし、時代に乗り続けるサーフィンは至難の業。そこにしがみつくのか、新しい波に乗り換えるのか、判断は難しいところです。が、私の信条は「楽しいビジネス」です。「顧客もハッピー、従業員もハッピー」ではないビジネスなんて成功しないと思っています。苦しいビジネスは必ず誰かにしわ寄せがいくようになります。値上げしたりサービスを落としたり、長時間労働させたり、いろいろなことを従業員に押し付けたり…であります。社長一人で苦しむのは構いませんが、皆をアンハッピーにはしたくないと考えています。

だからこそ、5年持てばいいビジネスの賞味期限とはそれぐらい割り切ってビジネスをするしかないということです。ちなみに私が展開するシェアハウス事業も仮にブームが過ぎ去ってもさっと内装を変えてどうにでもなるような仕様にしてあるんです。私なりの保険を掛けたつもりです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年8月25日の記事より転載させていただきました。