気管切開前日に、まさかまさかの通告!! その後…

気管切開。

1年前の今日8月31日に、私は気管切開及び喉頭分離の手術を行いました。しかし、手術の前日になってある問題が生じます。

入院中に既に私は24時間のヘルパー体制をとっており、常にヘルパーさんを介して口文字でコミュニケーションしていました。手術日が金曜日だったので、看護師の人数が手薄になる土日には病棟には戻らず、ICU(集中治療室)で経過観察の予定でした。

ところが前日に、ヘルパーさんはICUに入れられないと病院側から告げられます。理由は、ICUには重篤患者がいるので、衛生面の観点から不特定多数の出入りは許可出来ない、というものでした。納得せざるを得ない理由です。

私はひどく狼狽しました。おそらくICUの看護師さんは、私の「はい」と「いいえ」の区別もつかないことが予想されました。術後の不安定な状態で丸2日もコミュニケーションを絶たれるのは、恐怖でしかありませんでした。

そんな私の様子を見ていた、手術の説明に来ていた麻酔科の先生が、「じゃあこうしましょう。ICUでの2日間は麻酔をかけ続けて、眠っていてもらい、月曜に病棟に戻り次第、奥様もヘルパーさんもいる状態で目覚めてもらいます。」と仰いました。

その麻酔科医は、実はALSの父親を持っていて、ALS患者にとってのコミュニケーションの重要性を肌で理解している方でした。

丸2日も麻酔で眠り続けるのも恐怖だったので、私は思わず「ちゃんと目覚めますか?」と聞いてしまいました。麻酔科医はその問いに「目覚めます!私を信じてください!」と答えてくれました。

私はその方法で行くことを決断します。その結果、一年後、こうして元気にブログを書いてます(^ ^)命を預ける相手が、あの麻酔科医で本当に良かったと思います。

恩田聖敬


この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ前社長)のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2019年8月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。