バロンズ:変動の激しい相場では、伝統的な投資で切り抜けよ

2019年09月02日 06:00

バロンズ誌、今週はカバーにバイオテクノロジー企業2社を取り上げる。マイケル・ハートライン氏は、人間の体が自身を治癒させるべき手法を研究する一人だ。同氏は製薬会社シャイアーで勤務していた2008年頃から、体内に分子を注入し細胞にタンパク質を組成するよう命じれば、多くの疾病がタンパク質欠如に起因するだけに、病気治療に役立てると考えてきた。

ハートライン氏は過去数年において注目するのがメッセンジャーリボ核酸(mRNA)で、mRNAは細胞のDNAからタンパク質を生産する設計図を送る役割を果たす。こうした医薬品の研究・開発を行う企業がハートライン氏が最高技術責任者(CTO)を務めるトランスレート・バイオであり、同社はメルクやサノフィ、アストラゼネカ、グラクソスミスクラインなどの製薬会社から投資資金を集めてきた。

その一方で、mRNAはタンパク質の欠如による疾病を治療するという観点で、遺伝子治療と競合が見込まれるだけでなく、ワクチン産業とも対立する関係となるだろう。トランスレート・バイオのような企業には50憶ドルもの資金が投入されたようだが、将来性はあるのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート。今週は変動の大きな相場展開での投資手法に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。

The New York Stock Exchange Building in NY

(カバー写真:Mahmood Al-Yousif/Flickr)

株式市場がこれほど常軌を逸するのならば、気を抜いて投資せよ―When the Stock Market Is This Crazy, You Should Just Invest Lazy.

8月の世界の金融市場動向は明らかに常軌を逸しており、見通しは夏の終わりを意味するレーバー・デーと共に紛れもなく暗いトーンを帯びていた。8月は3つのTにより、大きく変動したものだ――すなわりツイート(tweet)、通商(trade)、米国債(treasury)である。SPDR S&P 500 ETF(SPY)の8月のトータルリターンはは8月29日まででマイナス2.85%に落ち込んだが、多くの投資家の打撃となったに違いない。

逆に、iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF(AGG)は、マイナス金利に落ち込む世界の債券残高が17兆ドルと1ヵ月で3兆ドルも増加するなか、2.73%上昇した。こうしたETFを使用した株式6割、債券4割という伝統的なポートフォリオをみると、トータルリターンは0.62%上昇しており。変動が激しかった割に底堅さをみせた。つまり、気を抜いてインデックス投資を行った方が賢明ということだ。実際、8月29日までにSPYを6割、AGG4割で投資したとすれば、年初来でのリターンは14.45%の上昇となる。

投資家にとって問題は、債券高でも株安局面での損失を十分カバーできないということだ。米10年債利回りが1.5%を割り込み、米30年債利回りが2%以下で推移している背景は、Fedが3回の利下げに踏み切るという市場関係者の見通しを反映しているのだろう。また、世界の利回り急低下は米国債利回りがマイナスに陥る可能性を示唆する。

ただし、エバ―コアISIのスタン・シップリー氏は、テクニカルとファンダメンタルズの両面から、米景気が後退入りせず(現時点で同氏はリセッション入りの確率を30%とする)、債券ラリーが反転するシナリオを見込む

逆イールドは警戒すべきシグナルだ。しかし米国GDPの約7割を担う個人消費は力強さを保つ。労働市場がひっ迫しているためで、レーバーデーの週末を祝う要因となっている。

gdpq2

(作成:My Big Apple NY)

米4~6月期実質GDP成長率・改定値でも、個人消費の好調ぶりが鮮明。

ウォール街が夏休みから戻ってくるなかで、9月6日の米8月雇用統計が注目されよう。足元、非農業部門就労者数(NFP)の市場予想は前月比16.4万人増、民間就労者数は同14.8万人増、失業率は3.7%、平均時給の前年比は3.2%の上昇が見込まれている。一連の結果は、9月17~18日に開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを妨げるものではないはずだ。パウエルFRB議長は、米8月雇用統計後にスイスで行う講演で今後の金融政策のヒントを与える可能性もあろう。


9月と言えば、ダウやS&P500など、1950年以降で最悪のリターンを叩き出してきた月です。その9月に入って早々の1日、トランプ政権は対中追加関税第4弾(約1,123億ドル相当、3,243品目)を発動。中国も同日、約750億ドルの米国製品への追加関税第1弾として大豆や原油など1,717品目に税率を5~10%上乗せしました。苛烈さを増すなかで、米中通商協議が幕開けします。ダウは9月1日から第4弾発動を言明したトランプ大統領のツイートからの下落を相殺しましたが、買い戻し歩調を維持できるのでしょうか。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年9月1日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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