ネットにポッカリと空いた穴 ~ 末期ガンの受け止め方とは

2019年09月10日 06:00

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

「あなたの命は、残り1ヶ月です」。背筋も凍る「死の宣告」をどう受け止めるのか?こうした答えはネットで検索しても出てこない、と余命宣告を受けた男性が私たちに大きな問題を投げかけます。

Twitterでも切なすぎる気持ちを問いかけます。

hiyori/写真AC(編集部)

死の宣告の受け止め方がわからない!

「末期がんになって初めて分かったことがある。ガンに勝てなかった人が、死の宣告をどう受け止めればよいのか?」、男性はそのように言い残してわずか4日後に天国へと旅立っていきました。

こちらの記事によると、田端健さんは「ガンが治らない人のための情報が見つからない」というのです。

“「残り1カ月となると、みんなそれを口にするのもためらう。だから情報がない。僕自身、どう受け止めたらいいのか知りたくて調べたけど全然ない。あのね、ここが伝えたいポイントだと思っているんだけど、治らないがんと治るがんがある。どんなに医療が発達しても治らない。治る人ばかり脚光を浴びるけど、治らない人もいるのです」

引用元(朝日新聞GLOBE +) 「末期がんになって気づいたことがある 「余命1カ月」の男性が遺した言葉」

死の受け止め方が分からない…というのは大きな問題に感じます。

末期ガンについて検索して出てくるのは「ガンが消えた!」という成功者の声と、それを実現した食事法や薬品などです。しかし、今回のケースのように「ガンに勝てなかった人」にはあまりにも眩しくて直視できない、そして悲しい成功体験の記事ばかりがネットの検索結果に踊り並びます。

メディアで輝く光と、見えない闇

ガンに限らず、「成功!」ばかりがずらりと並ぶ、検索結果はできなかった人の心を苛みます。

今は個人でも、容易に自分の考えを発信出来るようになりました。うまくいった事例を嬉々として不特定多数に発信する人はたくさんいます。

「わずか3ヶ月で英語をマスターしました!」

「短い期間でネットビジネスで大きく稼ぎ、本業の収入を超えました!」

このように見ている人が羨ましくなってしまう、「成功の声」で溢れかえり、メディアも「奇跡の成功術」「世紀の成功者」のようにうまくいった人を持ち上げるのです。

しかしながら、その栄光の裏で声なき多くの敗者がいます。検索するとたくさんの成功の声が出てきますから、そんなブログや動画を見ていると、あたかもうまくいくのが普通で、できなかった人は落語者のような扱いを受けてしまいがちです。

わずか数ヶ月で英語をペラペラ話せるようになった人の何千倍もの、うまくいかずに失意の底に落ちて知った人々がいるのです。でも彼らの姿が可視化されることはありません。

ガンの死の宣告の2つの受け止め方

私自身はガンに罹ったことがありませんので、エラそうなことはいえません。ここからは素人意見に過ぎませんが、自分なりにガンの受け止め方を考えてみました。

まずは「人は寿命で亡くなるより、ガンで亡くなる方が多い」という事実への理解です。国立がん研究センターの調査結果によると、男女合わせた生涯ガン罹患リスクは55%とあり、「2人に1人はガンになる」といえます。

ガンのリスクは50代以降に高まるので、今回の男性はそれよりかなり若いタイミングというのは残念でした。しかし、「いつかは自分もガンにかかる可能性がある」ということを統計データから理解しておくことで、「自分だけではないのだ」と受け入れやすくなるのではと感じました。

それから、末期ガンのように、死の宣告を受けて徐々に体が弱っていく段階を経る人は、「死の受容過程5段階モデル」と呼ばれる精神的プロセスを辿ることを理解するのも、受容への近道となるかもしれません。

<死の受容過程5段階モデル>

否認…死を受け入れない。

怒り…理不尽な死への怒り。

取り引き…死を回避するための取引の模索。

抑うつ…気分の落ち込み。

受容…死を受け入れる段階。

私は以前、顔出しも名前出しもしていない、20代で末期がんに罹った人の記事を熱心に最初から最後まで読んだことがあります。

彼の記事によると、「ガンの宣告を受けた時は、半狂乱と悲しみにふさぎ込んでいたが、死の受容過程を知った時、自分の精神がまさにこのプロセスを通っていたことを理解して、誰しもが通る道なのだと落ち着きを得た」とありました。

また、「最初はやり残したことがないように、あれこれ旅行や好きなことをやろうと思ったが、すぐにその気持ちは消えた。代わりに湧き上がったのは、自分のガンへの気持ちをネットに刻みつけ、それを読んだ人が少しでも救われたら…という思いだった」とありました。

結局、その男性は亡くなる数日前まで、携帯から頑張って記事を投稿し続け、「○○(男性のハンドルネーム)は安らかに旅立ちました。ご支援ありがとうございました。」という男性の家族からの投稿で更新の終わりを告げたのです。

彼がこの世に残した一文が他のがん患者の人の心に届くことで、受け止め方のヒントを得られるのではないでしょうか。末期ガンになってしまった人も、最後は「受容」へとたどり着く、ということを知っておくことで「気持ちの上ではいつか楽になれる」と思いました。

今回の記事を見て、出てこない情報などないように思える、ぽっかり空いたネットの穴を感じます。微力ながら、少しでも空いた穴を塞ぐ一助になるような記事を制作したいと思います。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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