ゴーンに続く西川日産社長の辞任の失態

2019年09月11日 06:00

指名委員会も役立たず

再建の功労者と言われたゴーンが逮捕、起訴、裁判を待つ最中に、後任の西川社長が不透明な役員報酬受け取りを追及され、辞任に追い込まれました。「日産はどうなっているのか」というイメージ・ダウンがしばらく続くでしょう。

日産サイトより:編集部

ネット社会では「ゴーンも西川も悪い」が一般的な声でしょう。間違いてはいけないのは。企業犯罪というよりか、経営者の個人犯罪としては、史上最大級の不正を働いたゴーンが主犯です。西川氏は必ずしも犯罪者とはいえないとしても、「自分は恥をさらしてもいいから、日産のイメージ回復を最優先し、不透明な行為が表面化する前に、辞任しておくべきでした」と、いいたい。

100年に一度という自動車産業の大転換、業界再編に日産は乗り遅れています。大株主のルノーが切望する「FCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)、ルノー、日産」という経営統合に追い込まれるのでしょうか。自動運転、無人運転の波に乗れなようなら、日産の将来は危うい。

ゴーンと同時に逮捕されたケリー(前・日産代表取締役、ナンバー3)が月刊文春7月号のインタビューで、西川氏の報酬上積みを克明に暴露しています。日産が9日に調査結果を発表した「4700万円」とずばり同じ金額です。日産な早期に調査し、西川氏はきちんと説明責任を果たしていたおけばいいのに、やっと最近になって「そうでした。でも不正ではない」と、釈明しています。

告発したケリーが担当者?

株価連動型の役員報酬(SAR)の執行で、株価を決める基準日でなく、高値になった1週間後に権利を行使し、本来の金額より4700万円も上積みされた。西川氏は「自分は指示していないから不正はしていない。会計処理は、ケリー氏が担当していた」といいます。日産に発表では、権利行使日をずらしたのは西川氏以外にもおり、「ゴーン、ケリー、西川、元取締役らの6人」としています。

西川氏を雑誌で告発したケリーも、同じ穴のムジナです。米国の弁護士ですから、裁判の行方を見据えながら「自分だけが悪いのでない」と逃げを打った。あるいは「ゴーンとケリーだけ悪者にされるのは、かなわない」と、西川も氏を道連れにしたかったか。とにかく後味が悪い。

西川氏も「ケリーらが担当していた。自分は指示していない」というものの、基準日と権利行使日のずれを知らなかったということはあり得ません。明細書を見ればすぐ分かる。ゴーンを追放し、自分がトップに立った時に「実はこうだった。その制度はもう廃止されてるし、差額は返済する」と表明すべきでした。これも後味が悪い。

2人を同列に扱うべきではない

さらに妙なのは、企業統治(ガバナンス)刷新ための指名報酬委員会がありながら、事態が動きだしても当初は「西川辞任」を求めなかった。日産の監査委員会も「調査結果では、違法性はない。」というスタンスでした。それが世間が騒がしくなると、取締役会議が一転「交代が適切」。

これも極めて後味が悪い。ゴーン事件の最中だけに、ゆるぎない企業統治、消費者に対する企業イメージの回復が必要な時期です。本来なら、適正な判断ができなかった指名委員会の委員も責任をとって辞任すべきでしょう。

日産の調査では、「ゴーンとケリーによる不正で、会社は350億円の被害を受けた」です。あくまでも主犯はゴーンであり、「ゴーンも悪い。ゴーンを追放した西川も悪さをしていた」「ゴーンの不正を西川氏らが見逃すか、手を貸した」と、同列に扱うのはどうか。カリスマ的な独裁者が最後に陥った史上、最大規模の経営者の個人犯罪を徹底的に裁くことが最重要の課題です。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2019年9月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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