知っトク解説:今回は“公正取引委員会”

中田 宏

中田宏の知っトク解説。今回は“公正取引委員会”。

よく「公取」と略される「公正取引委員会」は35歳以上で,「法律や経済に関する学識経験のある者」から選ばれ,両議院の同意を得たうえで内閣総理大臣により任命されます。委員長を含めた5人の委員で構成され、任期は5年です。また公取は他からの指揮・監督・命令を受けない独立性の高い行政委員会で、職員数は約800人が働き、「商取引の監視」「事件の調査」を日本全国各地で行なっています。

公取の仕事は自由な経済活動が公正に行われるように、独占禁止法の適正な運用が行われているか、マーケットや企業を監視しています。もし違反行為が見つかれば、違反行為を取り除くための排除措置命令を出します。

これまでも公取は官公庁が行う売買・請負契約などの入札制度における事前協定、いわゆる談合や企業や事業者が独占目的で行う、価格・生産計画・販売地域などの協定、いわゆるカルテルに厳しく対応してきました。談合やカルテルが生ずれば、「独占状態を生む」「メーケットのコントロール」などで市場の公正性を歪め消費者にとっては不利益になるからです。このように自由で公正な競争政策を推進することが、これまでの公取の大きな役割でしたが、時代の変化とともに役割が大きく変化してきました。

一つはものの取引だけではなくて、昨今の経済では「サービス」「知的財産」などが重要になってきたからです。IT化が進み、「個人がネットでものを購入する」「個人がビジネスを始める」ということが増えました。また、働き方も変わり、会社勤めから、SEやライター、デザイナーなどフリーランスで働く人も増えました。こうした変化を背景にして、SNSのプラットフォーマーと呼ばれるGAFAの様なサービス事業者に関心を払ったり、ジャニーズ事務所の圧力問題に注意をするなどで「公取」の名前を聞きました。

商取引の監視以外にも、イノベーションの活性化や新たなビジネスを創出してくことや、スタートアップ企業を設立してくなど、促進のための環境整備も公取の役割になっています。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年9月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。