資産防衛の大原則は「有事の備えは平時から」

日本経済新聞電子版が、先進国の中央銀行のバランスシートの動きについて報じています。

(日本経済新聞電子版から)

(日本経済新聞電子版から)

FRBは資産を縮小し始めていますが、ECBと日銀は拡大が続いています(図表も同紙から)。私が懸念しているのは、日銀のバランスシートです。

日銀の総資産は2019年7月末時点で5兆2340億ドルとなり、ECBの総資産を上回りました。国内総生産(GDP)比でみても、日銀は自国GDPとほぼ同じ総資産金額となっており、FRBやECBと比べても、その比率は圧倒的です。

日銀の資産の大半は日本の国債です。日本政府が財政赤字として発行した国債を、最終的に中央銀行が購入する構図になっています。これは、直接引受けにはなっていませんが、実質的な財政ファイナンスです。

このまま日銀の資産拡大が続くと、将来2つの問題が、懸念されます。

1つは、規律無き財政赤字の拡大です。財政赤字を拡大させても日銀がマーケットで買い支え、金利が上昇しなければ、安易な財政赤字拡大が進みます。将来的に財政赤字の返済が不可能な状況になれば、金融市場は大きく混乱することになるでしょう。

もう1つは、日銀の債務超過です。現状の低金利の中でも国債を買い続けていけば、高値で購入した国債の残高が膨らんでいきます。日銀が購入するから価格が下がらないという状態が永遠に続く保証はありません。何らかのトリガーによって金利が上がれば、日銀の保有する国債は価格の下落で評価損となり、実質的な債務超過に陥るリスクがあります。

日銀は国債以外にも、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)も大規模な資産買い入れを行っており、持ち値より下落すれば、これらも含み損になります。

資産膨張は極めて大きなリスクを抱えているのです。

もし、今後金利が反転上昇すれば、日銀のバランスシートが劣化し、政府の財政赤字の返済が難しくなります。それは、円への信任の低下をもたらします。つまり、インフレと円安の可能性が高まるのです。

私は、そんな最悪の事態に、今から対策を立てておく必要があると考え、自らポジションを作っています。

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将来、インフレと円安が起こらないに越したことはありません。しかし、起こってから対応しても、間に合いません。資産防衛の大原則は「有事の備えは平時から」。平時のうちに、有事に備えておくことが基本です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年9月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。