日本を蝕んだ「ゼネコン」というビジネスモデル

2019年09月19日 06:00

酒井直樹さんの「減少する熟練の技能…千葉の大停電、もうひとつの構造問題」を読んで考えさせられました。日本の多くのビジネスモデルは、「ゼネコン型」だったのではないかと再確認したわけです。

日本を支えてきたビジネスモデル

日本の労働生産性はきわめて低いと言われますが、日本の企業、とくに大企業のビジネスモデルに原因があると思われます。

どの業界も、「ゼネコン方式」で利益を上げているからです。言わずもがなですが、下請を叩いて利益を上げるという収益構造は、ほんもののゼネコンだけでなく、製造業、IT、流通業、マスコミ業界とあらゆる業界で利用されているビジネスモデルです。

下請は重層になり、何次下請けもあり、じっさいの作業はいちばん下部の企業が行っているのはご存じだと思います。正規-非正規の待遇格差も、「ゼネコン方式」の一種と言えるでしょう。

下請が利益の源泉

このように下請や非正規を買い叩くことによって、発注者と元請の本社の正社員は自身の労働生産性をはるかに上回る報酬を得ることができますし、さほど経営努力をしなくても大幅な利益が出てしまいます。

いよいよ現場の作業員が枯渇してきた現在は、移民の人でなんとかしようとしています。

日本企業は、労働者の供給が大きかったことから、ゼネコンというビジネスモデルによって、利益を上げることができました。ゆえに国際競争やビジネスモデルの刷新という難問から目をそらしつづけることができたのです。それもだんだんと限界が見えてきて、年功序列の給与体系の変革を始めて企業もあります。

ゼネコンモデルの限界?

たしかに、近年の大企業の一部で40代がリストラの対象になっているのは、ゼネコンモデルの限界を露呈していると思いますが、まだまだ部分的ですし、部分的で終わるかもしれません。

新卒一括採用・終身雇用がまだ強い日本においては、能力の多寡にかかわらず、大企業や自治体に入るか、それ以外の就業先によって、身分が固定化されてしまいます。近年は、中小企業から大企業に転職する人も増えていますが、それは経営者の戦略的判断というよりは、労働者不足という切実な環境変化によるものでしょう。

日本の身分制度

そして、「日本は出世意欲が最低、断トツで自己研鑽していない国に」と言われているように、身分が固定化されていればとうぜん技能を磨こうなどという気にもならないでしょう。日本人が社会人になってから勉強しないのは合理的です。する必要がないのですから。

酒井さんの言うように、「ホワイトな机上仕事に就くことが唯一の人生の勝ちパターン」という物語を1億人が共有したあとには、スカスカの現場が残るのではないでしょうか。若い人たちはその限界を認識し始めています。そして「正社員」という言葉が一掃される時代がいつか来るのでしょうが、それまでの過渡期は大きな対立や軋轢が生まれると思います。

中沢 良平

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