トランプ氏弾劾調査と大統領選挙

2019年09月25日 14:00

アメリカの大統領選挙が意識され始めたこの時期、やっぱりというか、もうこの段階で戦いの火ぶたが切って落とされた、そんな感じがします。

Gage Skidmore/flickr(編集部)

アメリカ下院議長で民主党のナンシー・ペロシ氏は民主党の重鎮で今年79歳。バラバラになりつつある民主党の中ではある意味、かなり安定感を持った党の顔的な存在であります。当然ながら大統領選挙に向けてペロシ氏の果たす役割も大いにあるわけで彼女はトランプ大統領をどう切り崩すか、そちらに精力を傾けます。

今回、報道されたトランプ大統領弾劾調査開始とは既報の通りですが、念のためおさらいします。民主党の元副大統領、バイデン氏が副大統領時代にウクライナのガス会社に勤める次男を守るためにそのガス会社を調査しようとしていた検事総長を解任しようと画策したのではないか、という疑惑が生まれます。トランプ氏はこれをネタにウクライナの大統領に270億円相当の支援協力金を出し渋ったのではないか、という二つの疑惑がからまった小説のような話であります。

トランプ大統領は俺がウクライナ大統領と交信した記録はオープンにしてやると息巻いており、疑惑解消に努めています。一方、ペロシ議長はこんなことで民主党の有力大統領候補の芽がつぶされてはたまらないと大統領の行為を違法とし、大統領弾劾の調査をするとこちらも盛り上がっているのであります。

個人的な見解ですが、これはトランプ氏が有利だと思われます。一つにはバイデン氏の情報がアメリカの諜報部門から上がってきている点です。アメリカの諜報能力は優れており、これをバイデン氏なりペロシ氏が反論できるかどうか私に微妙に感じるのです。

もう一点はペロシ氏の今回の異様な盛り上がり方こそがバイデン氏の不正行為を裏付ける形にすら見える点でしょうか?逆に言えば民主党は他に人がいないのか、ということになります。

三番目に挙げられる可能性としてはバイデン氏が民主党の大統領候補から滑り落ちると大統領候補の目玉が居なくなり、大混戦が予想され、圧倒的知名度と一定の実績を積んだトランプ大統領に対抗できなくなるリスクがある点でしょう。

事実、バイデン氏の今回の疑惑問題とは別に既に一部地域でバイデン氏の人気に陰りが出ている点が指摘されています。アイオワ州の世論調査ではエリザベス ウォーレン氏がバイデン氏をわずかながらリードしたと報じられています。ウォーレン議員はGAFA解体論者の筆頭候補であり、仮に彼女が大統領になろうものならアメリカの代表的IT企業は分割、解体のリスクにさらされます。

ご記憶にある方もいらっしゃるでしょうが、マイクロソフト社が一時期分割案で揺れ動いたことがあります。圧倒的な強みが故に恨みを買ったのです。同社はその後、その司法の戦いにこそ勝ったものの会社としての活力は一時期、完全に失われ、復活に十数年を要しています。

つまり、ウォーレン議員がやろうとしていることはかつてのマイクロソフト問題を一社のみならず、GAFA全体で行おうというとんでもない話であり、仮にそれがどれだけ世論の支持があったとしてもアメリカ経済に与える打撃は計り知れないものになるのです。

ところで最近、カリスマ的地位にある人に火の粉がかかっているケースが目立っています。トランプ氏のみならず、英国のジョンソン首相は議会閉会が違法と裁判所から判断が下され、同氏の戦略はすべて覆される状況になっています。WeWorkのニューマンCEOもそのカリスマ性故の圧倒的知名度を誇っていましたが、ソフトバンクからのCEO引きずりおろし作戦であえなく「降臨」しました。

何事もやりすぎは禁物、ということなのでしょうか?

少なくとも今回の弾劾調査はトランプ大統領がかつて乗り越えてきた数々のゴシップに比べればはるかにたやすい問題に見えます。むしろ、ペロシ氏の焦りばかりが強調されるそんな戦いであります。まだ大統領選は長丁場で入り口にも来ていません。こういう状況を見ると民主党の戦略と勢いにどうしても疑問を感じないわけにはいきません。

他人事ながら選挙はもう少し面白いものになってほしいと思っています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年9月25日の記事より転載させていただきました。

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