中国建国70周年に思うこと

2019年10月02日 14:00

中国が建国70周年を迎え、パレードが行われました。報道によると「儀仗(ぎじょう)隊が真っ先に掲げて行進したのは、中国共産党の『党旗』。ふだんなら先頭に立つ『国旗』と『軍旗』はその後に続いた」(日経)とあります。

(写真ACから:編集部)

(写真ACから:編集部)

つまり、この国は国ではなく、共産党という主義や社会体制が国家を凌駕するということになります。国家とは、「国境線で区切られた国の領土に成立する政治組織で、その地域に居住する人々に対して統治機構を備えるものである」(ウィキ)とすれば今の習近平体制は国境という枠組みを超えて現在の中華思想を無限に広げていくという野心を持っているともいえるのでしょう。

それゆえ台湾や香港への介入、さらには南シナ海への進出や中国西部でのほかの民族への介入は正当化されるという論理になりかねません。第二次世界大戦前、各国は膨張主義で領土や支配地を増やすことにまい進しました。習近平体制とはそれと大差なく、アフリカやベネズエラなどに金や人をつぎ込み、インフラ整備と称し影響力を見せるのは手段こそ違えども戦前の膨張主義となんら変わりないとも言えます。

「いかなる勢力も中国人民の前進を妨げることはできない」と習近平国家主席が発言していますが、これはある意味、裏腹な面もあるように感じます。つまり、強権のもと共産党体制を維持し続けなければ国家が崩壊しやすいリスクがあるとも取れるのです。

世界で人々の声が二分化し、妥協ができない社会が生まれつつあります。あのロシアですら、反プーチンの声がごく当たり前のように上がる時代です。その中で情報操作、思想操作で14億の民を共産党という枠組みに縛り上げるのは国民がかつてに比べて生活が改善したことを実感できるからでありましょう。これは経済や個人の富が逆回転をし始めると国家への忠誠が薄れるとも言えます。

忠誠が薄れた場合、国民には二つの選択肢しかありません。国外に移住するか、国家を転覆させることであります。89年の天安門事件は国家が成長期にあった中での事件で、純粋な民主化という運動であり、趣旨は違いますが、強大な制圧力で反体制を掲げた若者の夢は打ち消されました。通常、体制転覆をはかる場合、軍部がその主導力になるため、彼らが何らかの不満を持ち出すきっかけがあれば危険なサインということになります。

さて、体制という点では日本も中国も北朝鮮も似たような状態にあります。日本は自民党という体制、中国と北朝鮮は共産党という体制であります。韓国は盤石な体制を生み出すことができなかったため、現在のように日和見主義的な社会が形成されてしまいました。東アジア諸国は欧米の体制とは大いに相違しています。欧米が自由な体制の中で対立思想があるのは背景にキリストという宗教観が国民のベースに存在し、一定のグリップが効いているからではないでしょうか?ところが東アジアには経典を伴う明白な宗教観はなく、そのために体制で縛るという形になっていると私は考えています。

言い換えれば中国人も共産党が嫌いじゃない、ということではないでしょうか?もちろん、日本に自民党が嫌いな人がいるように中国に共産党体制を批判する人はいますが、その体制を打ち崩すことは国家に強烈な試練が起きるような状態にならない限り無理、とも言えそうです。日本で民主党体制が一時期あったのはご記憶の通り、バブル崩壊後の失われた〇〇年で国民が疲弊し、何か違うものを求めたからであります。

習近平国家主席は内憂外患とされます。が、14億の民が本当に蜂起するようなことがあるとすれば経済的ダメージしかないでしょう。香港や台湾のことは外から見る国家が指摘することであり、中国の国民には知らされないか、知っていても大した影響にならないでしょう。

ただし、中国が国境を超えて支配する地域を増やすことができるかといえば私は否とみています。理由は中国の共産党体制があまりにも古めかしく、それを宗教観が違う他人に強要すること自体がナンセンスだから、と考えています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年10月2日の記事より転載させていただきました。

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