なぜ、関電金品受領問題は起きたのか?

「関電金品受領問題」が大きな問題になっている。関西電力の八木誠会長、岩根茂樹社長ら同社幹部が、福井県高浜町の元助役から、金品を受け取っていたのだ。2017年までの7年間で、その総額は3億2千万円にも達するという。

記者会見した八木会長(左)と岩根社長(NHKニュースより:編集部)

高浜町には、いうまでもなく、関電高浜原子力発電所がある。この資金は、地元の建設会社から出ていたとみられている。なかにはその企業から、直接金品を受け取った者もいるようだ。大スキャンダルである。

ところが、記者会見を開いた幹部たちは、元助役が悪人で脅されていた、イヤイヤ受け取ったのだと答えた。まるで、自分たちは被害者とでもいうような口ぶりなのだ。罪の意識も責任感も、まったく感じられない。ましてや、責任をとって辞任するという発想もないようなのだ。

とにかく無責任きわまりない。このような幹部たちが、責任をとることなく、いまの地位に居座ったら、関電の信用は地に落ちるだろう。付け加えると、このような恥ずべき事態は、関電だけのことなのか、という危惧もある。

僕は、長年、原子力発電について取材を重ねてきた。その経験からすると、電力会社と地元自治体との間に、こんな関係が生まれやすいのは知っている。

2011年3月11日、福島第一原発で事故が起きた。それ以降、原発に対して、また電力会社に対して、国民から厳しい目が向けられ続けている。信用第一なのだ。

にもかかわらず、原発立地自治体との間で、こんなずぶずぶの関係が長年続けられていたとは。とにかく、あきれてものも言えない。このようなことをしているような人たちが、「安全な原子力発電」といくら口で言っても、信用されるわけがないだろう。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2019年10月10日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。