バロンズ:米中通商閣僚協議で第1段階の合意、米株に追い風

2019年10月13日 11:30

バロンズ誌、今週のカバーは債券投資にスポットライトを当てる。世界的に債券市場はラリーを続け、米国債利回りは過去最低近くにあり、マイナス金利の債券は15兆ドルに及ぶ。債務危機の引き金を引いたギリシャまで3ヵ月物国庫短期証券で初のマイナス金利となったほどで、投資家は何が起こっているのか困惑する有様だ。

米国の債券利回りは比較的高水準にあるが、それでも米10年債利回りは2%割れで、トップクラスの地方債でも3〜4%、ジャンク債で6%に過ぎない。今後、債券投資はどうなっていくのか。詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォ—ル・ストリート、今週は米中閣僚通通商協議での第1段階の合意と市場の反応を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

(カバー写真:The White House/Flickr)

時に物事は上手く進み、前週は株式市場に恩恵与える—Sometimes Things Can Go Right — and a Lot Did for the Stock Market Last Week

マーフィーは誤解されているのかもしれない。有名なマーフィーの法則は全ての出来事が悪い方向へ進むと仮定するが、出来事は時に上手く進むものだ。

米株相場は前週、3週続落から一転して上昇して引けた。米中貿易戦争が悪化する懸念が後退したためで、逆に経済動向への恐怖を表すバロメーターとされる米債相場は下落に反転した。合意なき英国のEU離脱さえ、回避されそうな風向きとなっており、リスク資産への資金流入を招いたのだろう。

もちろん、香港やトルコなど地政学的リスクが点在し全ては完璧ではない。米国では、トランプ大統領への弾劾調査を抱える。しかし、米株相場はトランプ大統領が「(中国との貿易交渉で)第1段階の合意に達した」と発言し、約2,500億ドル相当への中国製品に対する25%から30%ヘの引き上げも見送ったため、米株高で反応したものだ。

米株は年末に向け、上昇相場に突入するのか。

indu

(出所:Stockcharts)

逆に、米10年債利回りは1.68%から1.75%へ上昇した。一連の動きを経て、コーナーストーン・マクロは世界経済の改善を予想。米中間の妥結が、半年間で45ヵ国が利下げに踏み切り、中国が景気支援策を提供するなかで、世界経済に一段の緩和効果を与えると見込む。

ルネッサンス・マクロ・リサーチは、11日の”第1段階の合意”をめぐり、米中が共に経済減速を受けて緊張緩和に利点を見出したものと分析する。ひとまず、米株相場への資金流入が確認でき、SPDR S&P 500  ETF 投資信託(SPY)は年初来で18.5%高を遂げ、iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF(TLT)の15.6%高を上回る状況だ。7月末ではSPYが5%高、TLTが20%高だった動きと、対照的である。

ただ、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの調査では、債券ファンドに3,790億ドル流入した半面、株式ファンドからは2,170億ドルの資金が流出していた。前週も債券ファンドに111億ドル流入し、株式ファンドからは98億ドル流出したものである。こうしたリスク資産に慎重な姿勢が正当化されるのか、それは7〜9月期の米企業決算内容で明らかになるだろう。


10月10〜11日開催の米中閣僚貿易交渉では、トランプ大統領によると”第1段階の合意(phase one deal、中国側は使用せず)”、米国メディアがいうところの”部分的な合意(partial agreement)”に至りました。

1)10月15日に予定していた第1〜3弾の対中追加関税、約2,500億ドル相当の税率引き上げを見送り(25%→30%を25%で維持)
2)中国による米農産品400〜500億ドル購入(2017年は240億ドル)
3)為替操作防止をめぐるルール策定(詳細は不明、米国は8月5日に中国を”為替操作国”認定)
4 )金融サービスをめぐる中国側の市場開放
5)米企業の知的財産保護を強化(詳細は不明)

ただし、約3,000億ドル相当の対中追加関税第4弾は9月1日発動分については継続しており、ライトハイザーUSTR代表いわく、スマートフォンや衣類など消費者に直接影響する12月15日から発動分については先送りなど何も決まっていないといいます。ファーウェイの事実上の禁輸措置も、言及はありませんでした。さらに、米国が問題視してきた産業補助金、国有企業の優遇などについても特に伝わってきていません。

twitter

(出所:Twitter

それでも、トランプ大統領は11月に予定するAPEC首脳会議で第1段階における合意文書に習近平首席と署名が可能示唆しました。ホワイトハウスは、習近平首席からの書簡の存在も明らかにしています。今後5週間で両者がどこまで歩み寄れるのかが注目されますが、いずれにしてもトランプ大統領が”第1段階”と呼ぶだけに、今後も続く見通し。結局、米中通商協議が包括的な妥結を迎えるには、まだ長い時間が掛かりそうです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年10月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑