辺野古を「日米共同使用基地」とせよ

2019年10月19日 06:00

辺野古埋め立ての引き延ばしを図る玉城デニー知事

住宅地に囲まれ世界一危険とされる米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について、日本政府は、平成28年(2016年)12月20日の埋め立てを認めた国側全面勝訴の最高裁第二小法廷判決(民集70・9・2281)に基づき、平成30年(2018年)12月14日辺野古沿岸部の埋め立て工事に着手し、以後埋め立て工事を進めてきた。

辺野古基地予定地(2018年9月、編集部撮影)

しかし、その後、埋め立て区域で軟弱地盤が見つかり、地盤改良のためには改めて玉城知事の設計変更承認が必要であるところ、知事はこれを認めない方針である。また、埋め立て区域のサンゴ移植の許可についても判断を下さずに放置し、明らかに引き延ばしを図っている。

辺野古埋め立て阻止の法的根拠は全くない

さらに、玉城知事は埋め立てを阻止するため、政府を相手取ってこれまでに3回提訴し、うち1件を取り下げ2件の裁判が現在も審理中である。しかし、翁長前知事時代を含め、知事側が勝訴した裁判は皆無であり、すべて完全敗訴している。これは、辺野古埋め立てを阻止する知事側の主張には法的根拠が全く存在しないからである。

このように、埋め立て阻止の何らの法的根拠も存在しないにもかかわらず、玉城知事は、翁長前知事と同様に、辺野古埋め立てに反対し、これを阻止するため、勝訴の見込みのない法的手続きなどを乱用し、徹底抗戦している。知事にとっての徹底抗戦の根拠は、「オール沖縄」などの反対運動による辺野古新基地建設反対の「民意」なるものしかない。

玉城知事に業者との「癒着疑惑」が浮上

しかし、ここにきて、玉城知事側に受託業者との「癒着疑惑」が浮上した。沖縄県による事業費2410万円の支援業務の発注契約の前日に知事が当該受託業者と会食した問題である。しかも、当該受託業者は実態の乏しい「ペーパー・カンパニー」であるとの指摘もされている。

座波一沖縄県議Facebookより

これらが事実とすれば、知事権限行使の公正性・公平性、さらには適法性にも疑いが生じる。知事は疑惑を否定しているが、知事与党からも、知事に反省を求める声が上がっている。この問題については、知事寄りとされる沖縄県の地元紙も県に説明責任を求めている(10月7日付け「琉球新報」)。知事就任後1年が経過し、知事側に明らかに行政規律の緩みが生じているからである。

玉城知事の「ダブルスタンダード」

さらに、玉城知事については、辺野古移設には反対しながら、米軍那覇軍港の浦添移設の埋め立てに賛成するのは、明らかに「ダブルスタンダード」であるとの批判が沖縄自民党からされている。

これに対して、玉城知事は、埋め立ては自然破壊を伴うが、経済波及効果や産業振興の将来性を考慮すればやむを得ない、などと釈明している。このダブルスタンダード批判に対して、県側は2019年2月26日の県議会で、答弁に窮する場面が目立ったと報じられている(2月27日付け「琉球新報」)。辺野古埋め立て阻止の理由として「自然破壊」が声高に叫ばれてきたが、「自然破壊」に関しては、浦添移設の埋め立ても全く同じことであり、ダブルスタンダード批判は免れない。

画期的な「辺野古移設促進意見書」の可決

辺野古移設に関する最近の画期的な動きは、宜野湾市、宮古島市、石垣市、八重瀬町の4市町議会が、普天間飛行場の辺野古移設への促進を求める意見書をそれぞれ可決したことである。

普天間基地(写真AC)

9月27日可決された宜野湾市議会での賛成意見は、「戦後74年間も悩まされ続けてきた。我慢は限界であり、普天間基地の基地被害から一日も早く解放されるべきだ。普天間基地の辺野古への移設・統合こそが現在唯一の現実的な解決策であり、普天間基地の一日も早い危険性除去・全面返還への最も良い方法である。」という切羽詰まったものだ(10月15日「琉球朝日放送・報道制作局」)。

これは、長年基地被害に苦しんできた地元の切実な「民意」であり、この「民意」を玉城知事は無視すべきではない。のみならず、宜野湾市以外の3市町議会が、それぞれ辺野古移設促進の意見書を可決した影響は大きく、今後も意見書可決の流れはさらに他の市町へと拡大する可能性がある。2018年12月に着手された政府による埋め立て工事の進展も影響していると考えられる。

辺野古を「日米共同使用基地」とせよ

とは言え、玉城知事が今後も辺野古埋め立てに対して、裁判を含むあらゆる手段を使って徹底抗戦すれば、普天間飛行場の辺野古への移設はさらに遅れ、増々長期化するであろう。知事は「安倍後」を狙って引き延ばしを図っているとみられるが、その間普天間飛行場による基地被害や危険性は解消されない。のみならず、辺野古移設の終わりなき紛争による際限のない長期化は、「核心的利益」と称して尖閣諸島の軍事占拠を狙う中国を喜ばせ、尖閣防衛を含む沖縄の駐留米軍の対中抑止力を低下させる危険性がある。

そこで、筆者は、辺野古への移設を早期に実現するため、辺野古を「日米共同使用基地」とし、日米両国の協議により日米共同で管理運用する構想を提案したい。

「日米共同使用基地」のメリットとしては、日米共同使用の辺野古基地の管理運用においては、両国の協議により日本側にも管理運用権限が認められること、日米共同使用の辺野古基地においては、両国の協議により日米地位協定について日本側に不利な点の見直しもあり得ること、日米共同使用の辺野古基地においては、日米両国の連携協力・共同訓練等の関係が一層強化され、沖縄を含む日本の安全保障に有益であること、尖閣防衛を含む対中抑止力の維持強化にも資すること、などを挙げることができよう。

日本政府は玉城知事・米大統領との交渉を急げ

よって、日本政府は、玉城沖縄県知事と辺野古の「日米共同使用基地」構想について速やかに具体的協議・交渉を開始すると同時に、米国トランプ大統領とも早急に具体的な外交交渉に入ることを緊急提言する。

前記、沖縄県の宜野湾市、宮古島市、石垣市、八重瀬町の4市町議会による、画期的な「辺野古移設促進意見書」の可決は、必ずや玉城知事及び米大統領との交渉において、日本政府にとって大きな力となるであろう。

加藤 成一(かとう  せいいち)元弁護士(弁護士資格保有者)
神戸大学法学部卒業。司法試験及び国家公務員採用上級甲種法律職試験合格。最高裁判所司法研修所司法修習生終了。元日本弁護士連合会代議員。弁護士実務経験30年。ライフワークは外交安全保障研究。

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加藤 成一
元弁護士(弁護士資格保有者)

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