バロンズ:ドル安の恩恵を受けるのは、金相場?

2019年10月21日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーはストリーミング配信が席巻するメディア業界を取り上げる。インターネットTVサービスはしばしば”オーバー・ザ・トップ(度を超えた)”と呼ばれるが、視聴者はまもなく膨大な選択肢を余儀なくされるだろう。

”オーバー・ザ・トップ”とは、軍事用語で兵士が攻撃のため前線へ集結することを意味するが、ストリーミング配信の戦国時代では、ネットフリックスなどのほかディズニー、ワーナーメディア、NBCなどが参戦してきた。コード・カッティングすなわちケーブルTVの契約をやめインターネットのストリーミング配信へ移行する現象が加速するならば、伝統的なケーブルTV局は早急にストリーミング配信で優位を築かねばならない。投資家はどのように勝者と敗者を見極めればよいのか、詳細は本誌をご覧下さい。

カバー写真:Xiaobing Wu/Flickr

金相場、ドル安の恩恵を受ける可能性―Gold Could Get a Boost From a Weak Dollar.

毎日届く政治や海外のニュースの洪水に飲み込まれては気づかないだろうが、金融市場ではポジティブな動向が現れている。米中閣僚通商協議で「部分的合意」に達したことは明るいニュースに違いない。あるいは、BREXITをめぐり欧州連合(EU)と英国が離脱修正案合意なども、好材料として受け止められたのだろう(ただし週末の英議会の動向に掛かっている)。

しかし、短期金利の低下とドル安という金融面でポジティブな状況が進行中だ。米株相場やエマージング市場の債券市場並びに株式市場、商品市場特に貴金属市場には強気材料である。

FF先物市場では、10月29~30日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて25bpの利下げ織り込み度は89.3%に及ぶ。FOMC高官が追加緩和に反対を表明せずとも様子見を決め込むなか、エコノミストは逆に利下げに慎重となっているが、中央銀行は長きにわたり市場を失望させていない。

Fedは15日から、毎月600億ドルの財務省短期証券(Tビル)購入を開始した。量的緩和ではないとされるものの、買入再開は量的引き締め(QT)の巻き戻しにあたり、銀行の準備預金の縮小に歯止めをかけるものだ。イエレン前FRB議長が「ペンキが乾くような」と評したQTは2017年10月から開始し、MI2パートナーズによれば、実際の利上げ幅の3倍に相当する7.5%相当の引き締め効果をもたらしたとされる。

金利低下と株高に加え、ドル安は不足していた「景気浮揚策の土台」を与えよう。Mi2パートナーズは、これにより9月初めに前兆がみられたグロース株からバリュー株へのローテーションを予想する。

ソシエテ・ジェネラルによれば、ドル安とマイナス金利はヘッジファンドによる金相場への関心を高めているという。市場動向ははというと”野蛮な遺物(barbarous relic)”に連動するSPDRゴールドシェア投資信託(GLD)は横ばい圏で推移し、金先物自体も8月以降、1,500ドルを上下する程度だ。

しかし、ソシエテ・ジェネラルのストラテジストは金先物をポートフォリオ全体の5%とする最大限に強気なアロケーションを推奨する。ソシエテ・ジェネラルはもともと、Fedの一段の利下げとドル安を見込み金先物に強気だ。また、人民銀行など外貨準備高を金などへ振り向けるとも見込む。

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(作成:My Big Apple NY)

トランプ大統領はドル安を望む姿勢を隠そうとせず、ツイッター砲でFedに利下げの圧力を掛けるほどだ。一方で、米中貿易摩擦の一服は、ドル高圧力を後退させうる。そうなれば、売上の4割を海外に依存するS&P500構成企業などの業績の追い風(筆者注:一部では未だ30%との分析も)となるだろう。


バロンズ誌は、Fedが追加利下げを継続するとの見立てでドル安=金相場上昇を予想しているもよう。足元で米9月小売売上高が予想外に減少し、米9月鉱工業生産も振るわず、設備投資を始めとした企業部門の不振が雇用に飛び火し、消費者の支出動向に影響を与えつつあるように見えますものね。

問題は、米中貿易協議の行方で、仮に11月に部分的でも妥結し企業のセンチメントが回復し、先送りされていた設備投資が再開すれば、米経済の改善が期待できます。その時はFedの利下げも中断となり、ドル安傾向も一服しそうですが、果たしてどうなるでしょうか。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年10月20日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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