財政制度分科会(平成30年10月)の防衛予算に関する資料を読む②

2019年10月27日 06:00

財務省の財政制度分科会(平成30年10月24日開催)において防衛予算に関しても討議されまた。その資料を財務省がHPで公開しています。

Wikipediaより:編集部

引き続きこれについて重要な指摘とその解説を行います。
今回は次期中期防衛力計画についてです。

論点は

「調達改革の一層の強化に向けて、更に何を行うべきか。その際、次期中期防を含め、装備品のメリハリ付けについてどのように考えるか」

です。

調達改革の一層の強化に向けて
○ 調達改革は、防衛装備庁はもとより、防衛省の各部局が一丸となって進めていくことが不可欠。
○ 内部部局、各幕僚監部、防衛監察本部等においても、装備品の優先順位の明確化、個々の装備品に盛り込む性能の精査、監察の強化などにより、調達の一層の効率化・合理化を実現することが必要。
○ 平成29・30年度においては、これまでの調達改革の取組に加え原価の精査などの新たな取組により、年2,000億円程度の合理化効果を出しており、次期中期防衛力整備計画期間においては、この水準は達成したうえで、更なる上乗せを目指すべきではないか。

と、指摘しています。そして、更に踏み込んだ指摘がなされています。
各幕僚監部は、

● 装備品の選定・調達にあたっては、統合運用の観点を踏まえ、優先順位を明確化するべき。
● 装備品に必要な性能の具体化・明確化を徹底し、企業提案の内容について、要不要を峻別すべき。その際、防衛計画部門と調達・補給部門が連携し、ライフサイクルコストの観点から最適な仕様・数量とすべき。
● 装備品の稼働率向上を図るうえで、最も費用対効果が高くなるように、部品の調達や改修を行うべき。

防衛装備庁は

● プロジェクト管理対象装備品の対象を拡大するほか、データに基づくコスト管理の質の向上を図るべき。
● 量産段階の装備品については価格逓減を前提に適切に予定価格を算定するよう、予定価格訓令を見直すべき。
● 量産段階の契約でも原価監査を行うなど、原価監査の対象を拡大するべき。
● 「装備品調達のプロ」の育成や外部人材の活用を行うべき。

内局は、

● 次期中期防衛力整備計画は、各装備品のライフサイクルコスト等を踏まえた合理的な単価に基づいて策定するとともに、単価が上昇した場合には各装備品間の優先順位を付けて調達することとすべき。
● 情報システム分野は特注が一般的で、市場価格が存在。原価計算方式をやめ、適切な価格水準で調達すべき。

防衛観察本部は、

● 特定企業による一者応札などが続くシステム調達等について、独立した立場から厳しくチェックすべき。
このため、防衛監察本部の技術的知見を抜本的に高めるべき。(13P)

これらは一言でいえば当事者意識をもって当事者能力を高めろということです。財務当局から言われるようなことではないと思います。

この中で特に注目すべきは装備庁に対して外部の調達のプロを入れろという指摘です。民間企業の調達のプロをいれて、彼らに相応のポストと権限をもたせるべきです。そうでないとアリバイ工作で終わります。

それから防衛監察本部の装備調達に対する活用です。何度も指摘していますが、ブラックに近い官製談合が平然と行われており、これを監察本部は看過しています。監察本部の能力と権限を強化して装備品の取得を適正化すべきです。

■本日の市ヶ谷の噂■
陸自の新型戦車10式はモジュラー装甲システムが売りだが、予算の都合か軽量化のためか、知らないがモジュラー装甲は外壁のブリキだけで、砲塔側面は中口径機関砲で簡単に貫通。ブリキの棺桶と現場では不評との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2019年10月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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