50代は会社で邪魔者か?

2019年10月27日 14:00

日経ビジネスに「トヨタも悩む新50代問題、もうリストラでは解決できない」という特集があります。50代は給与も高いのに人に仕事を押し付けるのが上手、なのに自分では何もできない、あるいは評論家タイプが増えて具体的な解決策や改善策を自らがリードしながら進めていくとなると「おい、君がやれ!」ということなのだろうと思います。

(写真ACから:編集部)

(写真ACから:編集部)

50代問題は日経ビジネスだけではなく、いろいろなところで取り上げられる問題であり、その内容については批判も多いと理解しています。なぜ、こんなことになってしまったのか、日本の人事、教育にその理由を見出すべきなのか、考えてみたいと思います。

先日、ある勉強会で思わぬ意見が出ました。「人や世の中の言うことに従い、自分で考えない世界ほど楽なものはない」というのです。いわゆる受け身人生のようなものです。これは、どの年代、男女を問わず、主流派なのだろうと察します。

会社に於いて受け身型人生を当てはめると常に上からの指示待ちで「言われたからやる」ということになります。企業が自然災害や事故、不祥事で大きなトラブルがあった時ようやく「これは改善しないと」という対応をしますが、事前にそれを解決しようとしないのは「やらなくても大丈夫だろう」という意識があるからです。つまり、日本は往々にして積極対応ではなく、事後対応なのです。

会社人事でいえば20代から60代までの年層による特殊性はない、と考えてよいでしょう。経営者や経営幹部が会社の方針を考え、社員はその方針に向かって受け身として働くわけです。もちろん企業ですから洋の東西を問わず、それに従う点においては日本の独自性ではありません。ただ、海外では経営方針が合わなくて辞めた、という話は頻繁に聞きますが日本ではあまり耳にしないでしょう。従順という意味では20代から40代はある程度サクサク対応するのに対して50代は勝ちルートから外れた残存組という意識がより明白になり、方針に対して評論的になりやすく、会社からすると余計、使いづらいことになるのでしょう。

つまり、今の人事制度では20代から40代の層も50代から上になれば全く同じことが起きるとも言えます。これでは労働人口が減っていく中で日本の経営は成り立ちません。というより、いつまでたっても労働生産性がOECDの中で低位安定しているのは人事制度にあるのではないかと思うのです。

私は社員に経営参加型の癖をつけさせることは大事だと思います。さまざまな新ビジネスや改善のアイディアを社内公募し、発表することによる刺激です。次に企業が巨大化するなかで人事の一本化そのものが違うのではないかと思うのです。若い時から同期との出世競争にさらされるのはいいのですが、勝負が明白になる30代後半の「負け組」社員にやる気を醸成するのは難しいでしょう。ならば商社のように割と早い時期から専門分野(食品、資源、紙パ、新規事業…)ごとに人事も分けてしまうのもありです。そうすると出世街道は1本ではなく、分野数だけ増えることになります。

もちろんこの色合いがあまりにも強いと三菱重工や川崎重工のような縦割り統制で身動きが取れなくなるケースもあります。これは何らかの解決策を考えねばなりませんが、50代のやる気を出させるには30代からその仕組みを作り上げないと直せないと思うのです。

50代に突然、餌をぶら下げられてもごく一部の人しか反応できないでしょう。それはサラリーマン生活30年を迎える中で個々それぞれに「働き方」が固まってしまっていてフレキシビリティがないから、とも言えます。

もう一つはおおむね家族持ちは子供が大学生ぐらいになり私生活のゴールが近づいていることもあります。住宅ローンもだいぶ減ったか、払い終わっている方もいるでしょう。自らが幕引きの時期にあることを内面的に認識しているのです。ですが、私は時々主張するように人生二毛作、60歳からあと15-20年は現役で行けると考えています。

50代の方にあえて言えることは60歳からの明白なビジョンを作ること、そして自分がどれだけ前向きな人生を送れるか考えることだと思います。北米で当地の人と話をしていると「30年同じ会社に勤めた」というと社長や役員など幹部にでもなっていれば別ですが、なかなかその人生観を理解してもらえません。

自分の人生を持ち上げ、楽しむには若いうちから自己啓発が大事だと考えています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年10月27日の記事より転載させていただきました。

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