働く子育て女性の幸せはどこへ?

2019年10月29日 06:00

出生数が90万人を割るというニュース(日経)は記憶に新しい。人口推計に疎い人間の考えとしては、さいきんはずっと就職もいいし、少子化は下げ止まるのではないかと思っていたけれど、そうではなかったようだ。

やはり、日本は、子供が減っていく前提で、社会が回るようにデザインし直さなくてはならないのだろう。学校現場にいると、母子家庭、父子家庭は経済的にも肉体的にもかなり苦しいので、より多くの支援が必要だと感じた。

いっぽう、共働きが前提になりつつあるので、共働き世帯の支援もしっかりとしなくてはならないだろう。そこで気になるのが、子供をもったワーキングマザーの幸福度が下がるという調査結果が出たことだ。

佐藤一磨氏「働く妻と専業主婦の「幸福度格差」が示す、日本社会の厳しい現実 「子ども」の存在がカギになる」(現代ビジネス)

この調査によると、いちばん幸福度が高いのが子供のいない専業主婦だというのだ。そして、いちばん幸福度が低いのが子供のいるワーキングマザーだという。

意識調査なので、全てを承服することはできないが、この結果は興味深い。

この結果を信頼するならば、

  • 子育てはほんらい幸福よりも負担のほうが大きい
  • 女性が働く職場では今までどおりの育児をしない男性の働き方がデフォルトになっていって負担が大きすぎる
  • イクメンともてはやされつつも、男性があまり協力的でない

といったことが予想できる。

これにたいして、まったく別の場所で、上野千鶴子氏が興味深い指摘をしている。

上野千鶴子さんに聞いた、VERY世代の「女の子だからお受験させる」発言の背景(VERY)

この記事は、今の若いお母さんたちは、娘は中堅大学に入ってほしく、そこで安定した結婚をし、働かなくとも穏やかな人生を送ってもらいたいというお母さんたちのインタビューをもとにしている。

つまり、恵まれた世代ゆえに、子育てもしたい、仕事もしたいとなり、いまの女性自身が引き裂かれてしまい、結局価値観が一周回って、専業主婦だった母親世代のように生きてほしいというのだ。

当然、上野氏は、今の時代、結婚は安定装置にはなり得ないとおっしゃっている。

また、経済産業研究所の岩本晃一氏は、AIやRPAで「高学歴女性が最大の打撃を受ける」と言っている。これらの新しい技術で、大企業のいわゆる一般職の女性の仕事がなくなるということだ。(「AIと日本の雇用」)

男性のようにバリバリ働けないが安定して相対的に高い給与を得られる一般職という仕事がなくなろうとしている。

このように、日本の子育て女性は追いこまれている。

だからといって、昔のように男性にふたりぶんの給与を払える企業は少ないだろう。

じっさい、学校でのワーキングマザーからの「あたり」はかなりキツイと現役の教員も言っている。ちょっとした子供同士のトラブルでも、大きなクレームになってしまっているようだ。

お母さんは、仕事上の問題や人間関係から、余裕がなくなってしまっているのかもしれない。

今の若い人はそういう対応をとても嫌がるので、ますます教員離れが起きるだろう。こういった誤謬が積み重なっていって、教員の質がますます落ちるだけだ。

その点、生保の家庭で、「三人目の子を作ろうかと考えてるんですぅ」と屈託なく言えてしまい、ソーシャルワーカーが困惑している姿を見ていると、働いて子供を育てることについていろいろ考えさせられてしまうのであった。

少子化対策、子育て支援の道は険しいのだ。

中沢 良平
大手元請系企業に勤務後、私立小学校に勤務。公立小学校に転身後、早期退職。年金支給ま技術個人事業主して糊口をしのぐ日々。

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