バロンズ:米株、弾劾懸念や米中貿易摩擦をよそにさらなる高みへ

2019年11月04日 11:30

バロンズ誌、今週のカバーは中国ラウンドテーブルを掲げる。中国経済は鈍化局面にあり、米国とは貿易摩擦を抱え、香港では民主化デモの嵐が吹き荒れている。そのような逆風にさらされながら、中国株は極めて好調だ。上海総合はドル建てで19%高を達成し香港のハンセン指数も10%高を遂げている。今回、バロンズ誌が主催した中国ラウンドテーブルでは、中国株上昇の背景を説明するとともに株高継続を予想。彼らは巨大な国内市場のほか教育、メディア、生命保険、スポーツ衣料など急速に成長する市場に注目する。個別銘柄を含めた詳細は、本誌をご覧下さい。

(カバー写真:jack hebert/Flickr)

(カバー写真:jack hebert/Flickr)

過去最高の株式市場、年間で最高の時を迎える―The Best Stock Market Ever Heads Into Stocks’ Best Time of the Year .

今週末に冬時間入りを迎え、失われた1時間を取り戻せたと歓迎する向きがいるかもしれない。米株市場はというと年間で最良の6ヵ月に入るなか、主要株式指数が過去最高値を更新あるいは過去最高値に迫り、この世の春を迎えている。貿易戦争が世界の商業活動に影響を及ぼし、大統領弾劾の動きが本格化し、2020年に大統領選を控えるが、お構いなしだ。

S&P500種株価指数とナスダックは1日に過去最高値で引け、10月28日週はそれぞれ1.5%高、1.7%高で取引を終えた。ダウは1.4%高でクローズし、過去最高値にあと0.04%に迫る。過去10ヵ月間のパフォーマンスでは、S&P500のトータル・リターン(配当込み)で23.2%高、ナスダックは26.1%高、ダウは18.2%高となる。年初来のリターンは、2018年末にリスク・オフ相場を迎えていたため割り引く必要があるだろう。過去12ヵ月間ではS&P500は14.2%高、ナスダックは14.8%高、ダウは10.3%高となる。

(出所:Stockcharts)

(出所:Stockcharts)

一連のパフォーマンスは、ゆるやかに経済と業績が拡大し、かつ金融政策が利上げから利下げへシフトした賜物と言えよう。Fedは2019年に3回利下げし、ドルは9月末の高値から2%下落した。米国輸出業者にとって恩恵をもたらすだけでなく、年初から利下げした47ヵ国・地域にも好影響を与えるだろう。

問題があるとすれば、米株高はアップルやマイクロソフト、アマゾン、アルファベットなど、時価総額が4兆ドルに及び中小型株指数のラッセル2000を上回るテクノロジー企業に集中していることだろう。とはいえ、ニューヨーク証券取引所で取引されている銘柄を上昇群から下落群で引いてみると上昇群がピークにあり、広範囲にわたって米株高に貢献していることが分かる。

時期的にも、米株は上昇しやすいタイミングにある。ストック・トレーダーズ・アルマナックは今年、10月11日を株高の起点とする。奇しくも、Fedが短期証券の資産買入計画を発表した日だ。

米10月雇用統計が示すように、経済のファンダメンタルズも市場の追い風となっている。自動車部門の雇用はゼネラル・モーターズ(GM)のストライキを受けて4.2万人減少し、政府も0.3万人減となったが政府の場合は国勢調査のための臨時雇用が2.0万人減少した結果だ。さらに、過去2ヵ月分が9.4万人上方修正され、失業率も1969年以来の低水準近くを維持している。

政治では、米下院で10月31日に弾劾調査をめぐる決議案が可決された。世論調査は弾劾に向け意見が分かれるが、ルネッサンス・マクロは1998年との相関性を指摘する。当時は力強い経済と強気相場に支えられたほか、Fedが”予防的利下げ”に踏み切っていた。

(作成:My Big Apple NY)

(作成:My Big Apple NY)

過去は、必ずしも将来へのプロローグではない。一つの違いを指摘するならば、ウィワークが新規株式公開(IPO)を断念したように、根拠のない市場評価は修正され、過剰な動きは抑制されている。とはいえ、ルネッサンス・マクロが指摘するように、1990年代に大流行したニルヴァーナの名曲”Smells like young spirit”ならぬbullish spiritが再現されてもおかしくない。

--米10月雇用統計により労働市場の力強さを確認し、米国の景気後退入り懸念は低下したようです。米10月ISM製造業景況指数は3ヵ月連続で景気拡大・縮小の分岐点である50を割り込んだとはいえ、前月から改善しました。さらに、変動がISMほど激しくないマークイット製造業PMIは50を維持しただけでなく、第4弾の対中追加関税措置が検討される前の4月以来の水準を回復しました。米中貿易協議をめぐり第1弾の合意が意識され、改善したもようです。労働市場が堅調で家計所得が伸びを続ける限り、設備投資が改善すれば米成長は拡大基調を維持する見通し。中国も製造業PMIが改善の兆しをみせており、両国にとって経済成長のカギを握る第1弾の合意は何としても達成したいところでしょう。足元で市場は反応していないものの、大統領選を直前に控え弾劾調査を受ける初めての大統領となったトランプ氏にとっては、年末までに成果を出したいはずです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年11月3日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑