ワーク&ライフバランスと労働運動

2019年11月06日 14:00

第1回ワーク&ライフバランスを考える会のシンポジウム「マタハラxパタハラって何?」を行いました。パネラーは実際に被害に合った小酒部さやかさん、グレン・ウッドさん、そしてファシリテーターを福田峰之が務めました。幅広い世代で、子育て環境を考えるきっかけに出来たらと思います。

この問題を考えるにおいて根深いのは、心の底から「あなたの為に…」という思いが組織や個人にあるからです。また、他人に迷惑をかけるような行動は慎まなくてはいけない。「自分が頑張らなくて、どうする」という思いもあるからです。

日本人にとって、人のために考え、行動するという道徳観は、社会的地位を得ている人ほど持っています。道徳観が無ければ、組織の幹部にはなれないということでもあります。組織の為に己を捨て、企業と結婚する。他の人たちに迷惑をかけてはいけない。企業の為にも、自分が頑張らなくては…。嫌味、競争、いじわる等の背景を持つ人もいると思いますが、それは本質的な背景ではないと思うのです。

「子供が出来たんだって、本当におめでとう。子供は社会の宝だよ。僕が初めて子供が生まれた時は、本当に嬉しかったし、子供の成長から沢山を学んだよ。これからは、良いママ(パパ)になって、君だからこその素敵な子育てをしてみたら…。退職手続きはどうする。ボーナスをもらってからにした方が良いと思うよ。三つ子の魂百までと言われるから、子育てが落ち着いたら、また社会復帰したら…」

相手のこと、社会のことを考えた、心の底からの思いなのです。そして、これまでの、これからの道徳観でもあります。でも、そう思わない人が出て来てるという事実に蓋をしてはいけないと思うのです。

男女共同参画社会、少子高齢化社会において、働くという意味、子育てという意味は、徐々にではあるけれど、大きく変化をしてきていて、それを受け止めざる負えない環境にあるのです。

育児休業制度は法律で定められているので、取得できることは働く者の権利であり、企業は対応する義務を負ってる。差別なく、区別なく、対応してくれない企業が悪い。確かに労使間の課題と言われれば、そうかもしれませんが、この課題は「労働運動」とも少し質が異なっているように思うのです。何故なら、使用者側でも、子育てという意味では同様な事態が想定されるからです。キャリアを失わず、子育ての期間を休んで、元の職場に戻る、という意味では同じだからです。

制度を整えるというのは、我がままと言われないように、思われないように、バラバラな価値が存在することを社会が認めてルールをつくり、個人の社会概念を変えるのではなく、異なる考えの人がいることを認める環境をつくることです。それは、企業での研修をするという事だけでは解決出来ないと思います。同じ色となっている集団の企業組織内部にいるだけでは、肌感覚が養えないと思うのです。

具体的な事象としての解決策は、穴埋めをしている部署の社員に割り増し賃金を出す、上司の査定にする、政府の入札条件にする……多数、存在すると思います。

でも、一番良いのは、働く環境がどうなっているのか、企業としての情報開示だけでなく、働いている人が実際にどんな働き方になっているかを情報提供してくれることだと思います。

ただ、意識しなくてはいけないのは、我がままにも質があるので、一人の事象だけで、判断してはいけないという事も忘れてはいけないということです。

社会と言う表舞台で実名をさらし、子育て環境に課題があると投げかけている人たちのパワーは凄いものがあります。実名をさらせば、組織に入れたらトラブルを起こしかねないと表明上で判断され、就職にも影響が出るからです。言っていること、解決すべき行動が正しければ、本来、組織や社会は受け止めるべきです。

社会課題を見出し、諦めず、解決に向けて有効なるプロセスを描き、時間と資金を投資してチャレンジする人材。これは、正に今、日本の経済が求めている人材ではないでしょうか?逆に、これが出来るようになってしまえば、就職などせずに、自分でビジネスを行う道を選んでしまうかもしれませんが…。

課題解決に有効なる道筋を見いだせる人を採用出来る企業には人材が集まります。有名だけの働きづらい企業に優秀な人材が集まることはなくなるはずです。終身雇用を前提としていないと明言する大企業はこれから、どうするのだろう…。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年11月6日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。

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福田 峰之
多摩大学客員教授、前内閣府副大臣、前衆議院議員

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